富士フイルムホールディングス株式会社(社長:助野 健児)は、2030年度までの環境目標を改定し、「事業を通じた社会課題の解決」と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」の両面での気候変動対策を加速します。
まず、原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るまでの自社の製品ライフサイクル全体でのCO2排出削減目標を2013年度比30%から45%に引き上げました。同目標については、国際的な環境イニシアチブである「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」*1より、パリ協定の「2℃目標」を達成するための科学的根拠に基づいた目標としてWB2℃(well below 2℃、2℃を十分に下回る)認定を取得しました。また、CO2削減効果の高い自社製品・サービスを社会に提供することでCO2排出削減に貢献する目標値を5,000万トンから9,000万トンに引き上げました。
富士フイルムグループはこれまでも、製品やサービスの開発時に、環境への影響を配慮し、環境配慮製品・サービスとして社会に提供してきました。その中でも環境負荷削減に特に優れたものを富士フイルムグループ「Green Value Products」として認定し、今回、それらの売上を全社の6割にする目標を新たに設定しました。
<今回改定・新設する主な2030年度までの環境目標>
従来目標 | 新目標 | |
---|---|---|
①自社のCO2排出削減量*2 | 30%(2013年度比) | 45%(2013年度比) |
②CO2削減効果の高い自社製品・サービスを社会に提供することでCO2排出削減に貢献する削減量 | 5,000万トン | 9,000万トン |
③環境負荷削減に特に優れた富士フイルムグループ「Green Value Products」の売上 | ― | 全社の60% |

富士フイルムホールディングスは、2030年度をターゲットとしたCSR計画「サステナブル バリュー プラン(Sustainable Value Plan)2030」(「SVP2030」)を2017年度に策定し、「事業を通じた社会課題の解決」と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」の両面で活動を進めてきました。地球温暖化が社会に及ぼす影響は、パリ協定の目標「産業革命以降の人為的な気温上昇を2℃未満とする」レベルでも甚大との認識が広まっています。こうした中で、富士フイルムグループとして気候変動対策をさらに進め、CO2排出削減に関する環境目標の引き上げを決めました。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴う経済施策において、気候変動への対応をはじめとする持続可能な社会の構築を目指す「グリーンリカバリー」が世界的に提唱されています。富士フイルムグループは、「SVP2030」を引き続き推進し、製品・サービス・技術開発などを通じて新たな価値を創出することで、ポストコロナの社会課題の解決に貢献していきます。
- *1 地球の気温上昇を産業革命前に比べて2℃未満に抑えるための科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出量削減目標を推進することを目的として、2014年9月に、CDP・世界資源研究所(WRI)・世界自然保護基金(WWF)・国連グローバル・コンパクトの4団体によって設立。その後、2016年11月には気候変動に関する国際的枠組みとして、2℃未満に抑えることを目標としたパリ協定が発効。
- *2 自社の製品ライフサイクル全体において
<新たに目標設定した富士フイルムグループ「Green Value Products」の売上目標に関する認定制度の概要>

富士フイルムホールディングスは、サステナブル社会への実現に貢献するための施策として、気候変動への対応、資源循環、有害物質などの環境リスクの低減、廃棄物削減など、環境配慮に関する一定の基準を満たした自社製品・サービスを富士フイルムグループ「Green Value Products」として認定する制度を2018年から運用しています。グループ共通の認定ランク(ダイヤモンド・ゴールド・シルバー)を設定し、これまで140製品を認定しました。今回、富士フイルムグループ「Green Value Products」の売上を全社の6割とする目標を新たに設定しました。
ランク名 | 認定条件 |
---|---|
ダイヤモンド | 革新的な技術を用いて大幅に環境負荷を低減する製品・サービス |
ゴールド | 業界トップレベルで環境負荷を低減する製品・サービス |
シルバー | 業界の標準レベルを上回る環境負荷を低減する製品・サービス |
- * 標準的な環境配慮製品: 製品開発時に環境への影響を配慮し、業界標準レベルで環境負荷を低減する製品・サービス
- * 富士フイルムグループ「Green Value Products」認定制度は、国際標準化機構(ISO)が定める国際規格ISO14021に準じて設計
富士フイルムグループ「Green Value Products」に認定された主な製品
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新聞用完全無処理サーマルCTPプレート「SUPERIA ZN-II」 (ダイヤモンドランク)
新聞を輪転機で印刷する工程で使用される印刷版。本製品を用いることで、強アルカリ性の化学薬品、水、電気を使用する現像工程が不要となり、化学薬品、水、電気、廃液のゼロ化を実現。主原材料であるアルミニウムを再利用して同品質のCTPプレートを製造するクローズドループ・リサイクルの効果も合わせると、新聞社1工場あたり年間約390トン*3のCO2排出削減に寄与します。 -
データアーカイブストレージシステム「dternity(ディターニティ)オンサイト アーカイブ」 (ゴールドランク)
大容量データを安全に低コストで長期保管が可能な磁気テープとハードディスクを組み合わせたテープストレージソリューション。使用頻度が低いアーカイブデータを、ハードディスクから大容量磁気テープに置き換えることによりエネルギー使用量を大幅に削減*4。 -
ドキュメントハンドリングソフトウェア「DocuWorks」 (ゴールドランク)
紙と電子文書を一元保管し、その情報を自由に編集できる機能を持つソフトウェア。セキュアで大容量のクラウドストレージサービス「Working Folder」との連携で場所や時間、端末に捉われず、社内外で円滑に情報を受け渡したり、情報を活用することが可能です。紙への出力枚数や人の移動頻度を減らすことなどによりCO2排出量を削減します。
- *3 1工場当たりの平均的なプレート使用量(5,000m2/月)を基に算出。
- *4 960TBのデータを磁気テープで1年間保管した際のCO2排出量は、同容量のデータをハードディスクで保管した場合の1/18となる。JEITAテープストレージ専門委員会調べ。
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