富士フイルムグループ 行動規範

現在、世界にはさまざまな課題が山積しています。豊かで活力ある社会を将来世代に引き継ぐためには、環境、エネルギー、食糧、健康・医療、安全・防災、人権の尊重などさまざまな社会課題の解決と、経済成長を両立させることが必要です。企業は、多様なステークホルダーと協働し、イノベーションを通じてこれらの課題解決と持続可能な社会の実現に貢献することが期待されています。

また、事業活動にどのような姿勢で取り組むかも重要です。わたしたちは、全てのステークホルダーに対して耳を傾け、双方向に意見を交わし(オープン)、公平・公正な態度でルールを遵守し(フェア)、自身の意思決定や行動に責任を持ち、嘘・偽りなく透明性を保つ(クリア)必要があります。社会には法律をはじめとするさまざまなルールがあります。ビジネスの世界でも、そして一般の社会生活においても、法令や決められたルールを遵守してこそ、社会的な存在価値が認められます。

わたしたちは、社会から信頼され必要とされる企業でありつづけるため、コンプライアンスを要として、持続可能な社会の実現に向けて価値を生み出していきます。

富士フイルムグループのコンプライアンス宣言

富士フイルムグループでは、「コンプライアンス」を「法律に違反しないということだけではなく、常識や倫理に照らして正しい行動を行うこと」と定義しています。わたしたちは、事業活動のあらゆる局面において、コンプライアンスを重視し、新たな価値創造に挑戦します。ビジネスの利益や他者からの要求がコンプライアンスと衝突するときは、コンプライアンスを優先します。“オープン、フェア、クリア”の精神で臨む、それがわたしたちの基本です。

人権は、わたしたち一人ひとりにとって最も根本的かつ重要なものです。個人の尊厳を核とする人間としての生まれながらの権利の尊重なくして、会社の成長を支える人材の十分な能力発揮はありえませんし、社会から認められ必要とされる企業であり続けることもできなくなります。
ここに記載した項目は、わたしたちおよびわたしたちが事業で直接的・間接的に関わる全ての人々が、自身の能力を最大限に発揮し、社会に価値を生み出していくための基礎となるものです。

  1. 人権の尊重
    わたしたちは、「世界人権宣言」をはじめとしたさまざまな国際的宣言、条約、ガイドライン、また適用される法令や判例で保障された人権を尊重し、これを侵害しません。
     

  2. ダイバーシティの尊重と推進
    わたしたちは、人々の多様性を前提とし、さまざまな属性や価値観の違いにとらわれず、互いの人格と個性を尊重し、受け容れ、刺激しあうことで、新たな価値を生み出し、豊かな社会づくりに貢献します。
     

  3. 差別の禁止
    わたしたちは、互いに個人として尊重し、国籍、年齢、性別、性的指向・性自認、人種、民族、宗教、政治的信念、思想信条、出身、障がいなどを理由として、日常業務においてはもちろん、採用、昇進・昇格、処遇、教育機会などにおける差別をしません。
     
  4. いじめ・ハラスメント行為の禁止
    わたしたちは、性別や職権・地位などを背景に、個人の尊厳を傷つけたり不利益や脅威を与える言動(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント)、その他一切のいじめやハラスメント行為を行いません。
     
  5. プライバシーの保護
    わたしたちは、職場や業務を通じて知り得た個人の私生活に係る情報を本人の明確な同意なくして他者に共有・開示しません。また、入手した個人情報は適用される法令に基づき適切に管理します。
     
  6. ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の両立)の推進
    わたしたちは、業務において高いパフォーマンスと自分らしい生き方の調和を目指します。そのために、互いに個人の志向を尊重し、育児・介護など家族のケア、その他さまざまな個人の事情に配慮すると同時に、自身や同僚、業務上関わる人々の能力開発に積極的に取り組み、協働します。
     
  7. 強制労働・児童労働の禁止
    わたしたちは、奴隷労働、拘束労働、人身売買を含むいかなる形態の強制労働および児童労働にも関与しません。正当な手続きを通じた雇用の自由選択を可能とし、強制労働・児童労働を防止するために必要な対策を講じます。
     
  8. 労働安全衛生と健康推進
    わたしたちは、労働災害の防止など労働安全衛生に関し適用される法令やルールを遵守します。また、自身やともに働く人々の心身の健康に配慮して、安全で快適な職場環境の維持・強化を目指します。
     
  9. 労働基本権の尊重
    わたしたちは、適用される法令や慣習に従い、労働者の団結権、団体交渉をする権利など、労働基本権を尊重し、これを侵害しません。

わたしたちは、自分たちの携わる事業活動が“オープン、フェア、クリア”にすすめられるよう努めます。ここに掲げる各項目は、その違反により法の制裁はもとより、会社の信用の失墜につながります。わたしたちは、これらの項目を遵守し、高い倫理観の実践を目指します。それぞれの行う業務について職制を通じて正確・迅速に報告し、定められた手続きを着実に履行していきます。

  1. 積極的なコミュニケーション
    わたしたちは、社会の要請に応え、社会との相互発展を目指すために、社内外における双方向のコミュニケーションを重視し、“オープン、フェア、クリア”な態度・姿勢で事業活動を実践します。
  2. 情報開示
    わたしたちは、お客さま、取引先、従業員、地域社会、行政機関、株主・投資家、NGO・NPOなどさまざまなステークホルダーに対して、会社の経営方針や活動などの企業情報を積極的かつ的確に発信し、透明性を持って説明責任を果たします。
     
  3. 公正な競争
    わたしたちは、市場における自由な競争の重要性を認識し、公正な競争を妨げるような不当な取引制限や不公正な取引方法を用いません。
     
  4. 公正な販売活動
    わたしたちは、お客さまや販売代理店などの販売先との関係において、対等で公正な取引関係を維持します。販売先を巻き込んだ架空の売り上げ計上などの不正行為はもとより販売先との癒着関係を疑わせる行為はしません。
     
  5. 公正な調達活動
    わたしたちは、サプライヤーとの関係において、公正であることを維持します。私的な便益(金銭、物品、サービスなど)の享受や、優越的な地位の乱用などサプライヤーとの公正な関係を疑わせる行為はしません。
     
  6. 腐敗防止
    わたしたちは、公務員や政府関係者との関係について、慎重かつ細心の配慮をもって臨み、汚職行為には関与しません。
     
  7. 贈収賄の禁止及び贈答、接待等の制限
    わたしたちは、販売先や購入先など取引先との健全な関係を維持するため、また、公務員や政府関係者との清廉な関係を保つため、公正さを疑わせる贈答品の授受・接待・政治献金・寄付・スポンサー費用の支払い、また契約金額のキックバックなどを行いません。
     
  8. 役員・従業員の立場での思想・宗教活動の禁止
    わたしたちは、会社の役職または従業員の立場において、特定の政党、政治団体、立候補者、思想団体、宗教団体などに対する支持や反対の活動を行いません。
     
  9. 反社会的勢力との断絶
    わたしたちは、社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的・非合法的勢力や団体との関係を排除し、マネーロンダリング(資金洗浄)への関与を含む、これらの勢力や団体を利する行為はしません。
     
  10. 輸出入法規の遵守
    わたしたちは、全ての貨物・技術・ソフトウエアの輸出、技術情報の社外への開示(技術指導を含む)及び全ての貨物・技術・ソフトウエアの輸入に際し、適用される輸出入関連法規を遵守し、国際的な平和と安全の維持に努めます。
     
  11. 財務報告の正確性と適正な納税
    わたしたちは、事業活動に伴う会計記録や財務報告について、その正確性に努め、意図的な改ざん、あるいは改ざん行為への関与はしません。また、事業を行う国・地域の税法及び国際的なルールを遵守し、各国・各地域で適正な納税を実施します。
     
  12. 品質保証、製品・サービスの安全確保
    わたしたちは、製品・サービスを市場に提供するにあたり、品質と安全の保証に万全を期します。また、言語、文化、国籍、年齢、性別、障がいの有無などに関わらず誰もが使いやすいユニバーサルデザインを意識するとともに、製品及びその使用方法に関する情報を正確かつ分かりやすい表示・記載で提供し、事故の防止に努めます。万一、事故が生じたときは、迅速かつ適切に対応します。
     
  13. 責任あるマーケティング
    わたしたちは、消費者・顧客に対し、製品・サービスに関する情報を誠実かつ正確に伝える宣伝広告やマーケティング活動を行います。

会社には多くの資産があります。自社の資産のみならず、お客様の情報や取引先、提携先との契約に基づいて預かっている有形・無形の各種資産など、それら膨大な資産を利用しながら、事業が行われています。自然災害をはじめ反社会的勢力の活動やテロリズム、サイバー攻撃など企業活動に対する脅威が多様化する中、わたしたちは、自社の財産保全のみならず、多くの第三者の財産権を、これらから守らなければなりません。日々の業務を通して、わたしたちが接する情報や資産を大切に扱い、損失から保護するための予防策をとり、不適切に情報は開示しないことが、ますます重要になってきています。

  1. 会社資産の有効活用
    わたしたちは、先進、独自の技術を用いた製品・サービスを世に送り出すため、大切な経営資源である有形・無形の会社資産を積極的かつ有効に活用します。
     
  2. 会社資産の不正利用の禁止
    わたしたちは、製品、設備、備品、情報、知的財産等の有形・無形の会社資産を私的利益のために利用したり、不正の目的を持って利用するなど、会社資産の侵害行為をせず、適切に管理・使用します。
     
  3. 利益相反の禁止
    わたしたちは、会社の事業と競合する行為やそれに関わること、競合会社のために働くことなど、会社の利益を犠牲にして自己もしくは親族や友人・知人の利益を図る行為をしません。
     
  4. インサイダー取引の禁止
    わたしたちは、職務上の立場から知り得た、また職務上の立場を利用して取引先等から特別に知り得た未公開情報にもとづいた株式や社債など証券の売買(インサイダー取引)をはじめとした自己の利益を図るような行為をしません。
     
  5. 秘密情報の保護
    わたしたちは、会社の秘密情報が会社の重要な財産であることを意識し、これを厳重に管理し、秘密を保持します。
     
  6. 他者の知的財産の保護
    わたしたちは、他者の非公開情報を入手・利用するにあたり、不正な手段を用いません。また、他者の著作権や特許権をはじめとする知的財産権を侵害しません。
     
  7. 個人情報の保護
    わたしたちは、個人情報の重要性を認識し、その収集、記録、管理、利用、廃棄において、適用される法令を遵守し、適切に取り扱います。
     
  8.  危機管理
    わたしたちは、自然災害、テロリズム、サイバー攻撃、その他の緊急事態に備えて組織的な危機管理を行います。有事には従業員・地域住民の安全を第一に、関連するステークホルダーへの影響の最小化に取り組みます。

環境課題は、一つの地域、国だけでは解決できない人類共通の重要課題であり、個人、企業、地域社会、その他さまざまなステークホルダーが協働して取り組む必要があります。わたしたちは、法令遵守はもとより、原材料の調達から製品の開発・製造、輸送、販売・サービス提供、お客さま先での使用、廃棄に至る事業活動の全てにおいて、環境マネジメント体制を充実させ環境負荷の低減に取り組むとともに、先進の技術とイノベーションによって環境課題の解決に貢献していくことを目指します。かけがえのない地球環境を将来世代に引き継ぐためには、わたしたち一人ひとりの認識と自主的な行動が非常に重要です。

  1. 気候変動への対応
    わたしたちは、世界的な環境課題として、人類の活動に起因する気候変動が進行していることを認識し、脱炭素社会の実現に向けて、事業活動の全てにおいて、温室効果ガスの排出削減と気候変動による影響の抑制の取り組みを積極的に推進します。
     
  2. 循環型社会への貢献
    わたしたちは、資源には限りがあることを認識し、資源の節約と再利用、リサイクルなどを一層促進し、循環型社会の確立に向けて行動します。
     
  3. 化学物質の安全確保と有効活用
    わたしたちは、化学物質の開発、生産、使用、廃棄において、化学物質が人の健康や環境に悪影響を与えないよう必要な対策を講じます。その上で、さまざまな社会課題の解決のために化学物質の有用性を最大限に活用します。
     
  4. 地域の環境保全と地域社会とのパートナーシップ
    わたしたちは、地域社会の一員としてさまざまなステークホルダーと連携し、大気・土壌・水の保全、騒音・振動・臭気の抑制、また生物多様性の保全に取り組みます。