富士フイルムホールディングス

CSR活動報告│新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への取り組み

唾液による迅速で正確なPCR検査を実現

ウイルスとヒト遺伝子を同時に検出することにより、「偽陰性」の発生を低減

新型コロナウイルス遺伝子検出キット「SARS-CoV-2 RT-qPCR Detection Kit Ver.2」

富士フイルム和光純薬は試薬*1のリーディングカンパニーとして、長年、試薬の研究を通じて酵素や遺伝子技術に関する幅広い知見を培ってきました。世界中で感染が拡大する中、ヘルスケア企業としての責任から、こうした研究用試薬の技術を活用することでひっ迫するPCR検査の処理能力向上に貢献したいと、リアルタイムPCR検査キットの開発に挑戦しました。

開発プロジェクトチームを立ち上げ、2020年2月には本キットのコンセプトを確立し、使用する酵素の調達先も確保して、一気に開発を進めました。その結果、PCR法を用いた検査時間の大幅な短縮を実現した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)用の遺伝子検出キット「SARS-CoV-2 RT-qPCR DetectionKit」を2020年4月15日に発売、従来4~6時間かかっていた検査所要時間を、他社開発のRNA抽出キットを組み合わせることで、約2時間まで短縮しました。

COVID-19のPCR検査の検体には、主に「鼻咽頭ぬぐい液」が使用されていましたが、鼻咽頭ぬぐい液の採取は被検者に負担がかかる上に、採取時のくしゃみや咳によりウイルスが飛散する恐れが指摘されており、被検者の身体的負担と、採取者の感染リスクを低減する方法として、従来方式とは違う「唾液」を検体とする検査方法が求められていました。そうした中、6月に厚生労働省が「唾液」を検体とするPCR検査を承認したことを受け、唾液を検体とし、検体採取後約1時間で検査結果を得られるPCR検査用前処理試薬「SARS-CoV-2 溶解バッファー」と、新型コロナウイルス遺伝子検出キット「SARS-CoV-2 RT-qPCR Detection Kit Ver.2」を7月31日に発売しました。

同キットは、COVID-19の遺伝子と同時に、検体に必ず含まれるヒト遺伝子の検出が可能であるため、感染有無に関わらず検出されるはずのヒト遺伝子が検出されない場合には、「検査が成立していない」ことを確認できます。これにより、本来は再検査が必要であるのに誤って陰性と判定される「偽陰性」の発生を低減できます。

日本での製品発表後、海外からの問い合わせも多数あり、現在海外版キットを開発し展開中です。今後も当社の優れた遺伝子技術を生かし、社会が必要とする製品を提供していきます。

  • *1 試薬:化学的方法による物質の検出もしくは定量、物質の合成の実験または物理的特性の測定のために使用される化学物質。臨床検査薬も本来試薬の範疇に入るが、厚生労働省では「体外診断用医薬品」と位置づけており、行政的な扱いを一般の試薬と分けている

※ 本ページは、サステナビリティレポートから一部抜粋したものを掲載しています。