CSR活動報告│環境

事業場の環境保全

(富士フイルムの活動)

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富士フイルムの各事業場および関係会社では、「富士フイルムグループ グリーン・ポリシー」の重点実施事項のひとつひとつとして、「生産サイト等での環境保全」を積極的に進めています。

  1. 開発・生産・ラボなどの法規制対象物質を取り扱う事業場においては、土壌・地下水、排水、揮発性有機化合物大気排出量のモニタリングを定期的に実施するとともに、管理体制の維持向上を進めています。
  2. 日本国内の生産サイトは化学物質漏えい対策として、配管・ピット・タンクなどの地上化、二重化などの早期発見を可能とする施策を継続して実施しています。
  3. 日本国内の関係会社は、ゼロエミッションを継続させています。さらに資源リサイクルの質的な改善も実施しています。海外の関係会社は、各国の状況に対応して別途目標を定めています。
  4. 日本国内の関係会社は、廃棄物関連教育の充実および適正管理の徹底を図っています。また処理委託先の実態調査を実施し、法規制を順守した廃棄物管理の確実化を進めています。海外の関係会社は、各国の状況に合わせた適正管理を徹底させています。

環境法令ガバナンスの強化

日本国内の環境ガバナンス

[写真]排水処理設備(富士フイルム神奈川工場)

排水処理設備(富士フイルム神奈川工場)

富士フイルムでは、生産系各事業場の環境責任者を集めた環境会議を定期的に開催しており、その中で環境法規制動向やその対応、大気排出、排水などの環境負荷削減計画の策定や活動の推進チェック、環境トラブル削減に向けた取組みなどについて共有、討議しています。各事業場の環境マネジメントシステムの仕組みに組み込み、確実な対応を確認しています。
日本国内の関係会社に対しては、年一度開催する「グリーン・ポリシー連絡会」にて富士フイルムグリーン・ポリシー重点実施事項について説明しています。また、環境法規制など具体的な対応が必要な課題に関しては、適宜文書にて情報を共有するとともに、必要に応じて説明会・会議などを通して施策の浸透を図っています。
 

海外の環境ガバナンス

[画像]環境ガバナンス体制

環境ガバナンス体制

海外の環境法令等への対応は、富士フイルムの本社がワールドワイドの環境に関わる方針を策定して環境ガバナンスを担い、各地域を統括する地域本社が、地域の特性にあったきめの細かい環境活動の推進役を担うという体制で、環境活動を進めています。
現在、欧州地域のFUJIFILM Europe GmbH、米州地域のFUJIFILM Holdings America Corporation、および中国地域の富士膠片(中国)投資有限公司が環境管理部門を設置し、地域本社として地域の特性に合ったきめの細かい環境活動の展開や推進を通じた環境ガバナンス活動を行っています。
この体制に基づき、グループ全体の課題をより深く討議する場として、富士フイルムの本社と各地域本社とで構成する「コアグループ会議」を設置しています。また、各地域で開催される地域環境会議には富士フイルム本社から参加することにより、「富士フイルムグループ グリーン・ポリシー」重点課題など最新の情報を直接伝え理解を深める場として、グループ共通の理念や価値の共有および環境ガバナンスの強化につながっています。

PRTR法届出対象物質と状況

日化協PRTR調査物質のうち、2021年度の富士フイルムおよび国内関係会社での総製造・使用量が1トン/年以上の物質を記載しました。詳しくは以下のリンクを参照ください。

PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法

1999年7月に成立した「特定化学物質への排出量の把握などおよび管理の改善の促進に関する法律」の通称。懸念化学物質の環境への排出量を把握することなどにより、化学物質を製造・使用する事業者が自主的に化学物質管理を改善し、化学物質による環境保全上の支障を未然に防止することを目的としています。対象となる事業者は2001年4月から対象物質の排出量などの把握、2002年4月から行政へのデータの届け出が義務付けられました。

土壌・地下水汚染の対応

配管やタンクの地上化

[写真]配管タンクの地上化

配管タンクの地上化

新たな汚染の発生を未然に防止するために、新設配管、タンクなどについては地上化して漏えいの点検、発見を容易にするとともに、既設の配管、タンクなどについても地上化、二重化計画を策定して着実に更新を進めています。

土壌・地下水汚染状況の調査と浄化

[写真]土壌浄化工事

土壌浄化工事

土壌・地下水汚染に関して自主的な環境調査を実施しています。生産サイトで使用され、環境基準値が定められている物質については、使用・在庫管理および排水管理を厳重に行うと同時に、地下水水質の定期的なモニタリングを実施し、万一の事態が発生した場合にも迅速な対応がとれるような管理を行っています。
調査の結果については以下の表「生産事業所を中心とした自主調査の結果」を参照してください。

[写真]地下水モニタリング

地下水モニタリング

生産サイトを中心とした自主調査の結果
事業場名 調査完了時期 汚染の有無 物質の種類 浄化の方法 浄化状況
富士フイルム 神奈川工場
(足柄サイト)
2001年11月 あり
(土壌)
重金属類 土壌入れ替え 2002年3月完了
神奈川工場
(小田原サイト)
2001年6月 あり
(土壌)
重金属類 土壌入れ替え 2002年1月完了
富士宮工場 2001年3月 なし      
吉田南工場 2001年3月 なし      
宮台地区 2001年3月 なし      
朝霞地区 2001年12月 なし      
大宮地区 2001年4月 あり
(地下水)
VOC 揚水処理 浄化中
2017年11月
(工場東側)
あり
(土壌)
重金属類 土壌入れ替え 2020年7月完了
富士フイルムオプティクス 佐野工場 1997年11月 なし      
水戸工場 1999年9月 なし      
大和工場 2001年10月 なし      
富士フイルムテクノプロダクツ 南足柄サイト 2002年4月 なし      
花巻サイト 2001年6月 なし      
富士フイルム テジタルテクノ
(現:富士フイルムオプティクス)
2001年10月 なし      
富士フイルム エレクトロニクスマテリアルズ 静岡工場 2001年11月 なし      
富士フイルムイメージングソリューションズ
(現:富士フイルムイメージングプロテック)
大阪事業所 2001年11月 あり
(土壌)
重金属類 土壌入れ替え 2003年4月完了
その他事業所
(9か所)
2001年6月 なし      
富士フイルム和光純薬
(現:富士フイルムワコーケミカル)
広野工場 2005年11月 なし      

 

浄化対策(大宮事業所)

富士フイルム大宮事業所敷地内の浄化対策の現状について

  1. 富士フイルム大宮事業所敷地内に設置した11本の揚水井戸から地下水をくみ上げ、2基の浄化装置を使って浄化し、同時に敷地境界での拡散防止を図っております。今までに対象物質を約993.9kg回収しています。(2022年11月現在)
  2. 敷地内観測井戸を使って地下水を定期分析し、浄化の進み具合を確認するとともに、周囲の地盤沈下や井戸涸れを防ぐための監視も続けております。
  3. 上記の対策の結果、敷地内全観測井戸(2022年11月現在)のテトラクロロエチレン(PCE)平均濃度は、環境基準値0.01mg/lに対して、0.0366mg/l値を示しました。
  4. 今後も各井戸の揚水対策とバイオ浄化対策を継続して浄化と拡散防止に取り組んでまいります。
全井戸平均PCE濃度
  • * バイオ浄化対策によるPCE濃度推移グラフ。バイオ浄化対策で低い値を維持しております。

近隣のお宅の井戸水調査結果(2022年11月調査)

1. はじめに

富士フイルム大宮事業所近隣のお宅の井戸水に関する調査を2022年11月に実施いたしました。その結果がまとまりましたのでご報告いたします。
なお、個別の検査結果は調査を実施したお宅に別途郵送させていただきました。

2. 調査結果について
  1. さいたま市のご指導により例年11月に調査する範囲(植竹町1丁目、東大成町1丁目、盆栽町の内、当社工場から南側および南東方向に概ね200m付近までの家庭井戸、ならびに寿能町1丁目の防災井戸)について、11月14~15日に採水を実施いたしました。
  2. 対象となる69本の井戸の調査を完了いたしました。
  3. 井戸水の分析は、3物質(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ヒ素)を対象に行いました。
  4. 調査結果は下表のとおりです。トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンおよびヒ素が環境基準値を超えた井戸はありませんでした。
項目 調査井戸本数 検出井戸本数 基準超過 検出濃度範囲(mg/l) 環境基準値(mg/l)
基準以下
テトラクロロエチレン 69 10 0 - 0.01以下
10 0.001~0.009
トリクロロエチレン 69 3 0 - 0.01以下
3 0.005~0.007
ヒ素 69 4 0 - 0.01以下
4 0.001~0.002

 

  1. 従来の調査結果と大きな変化はありませんでした。今後も引き続き富士フイルム大宮事業所敷地内の浄化作業に併せ井戸水調査を実施してまいります。

浄化対策に関するお問い合わせ先
富士フイルム(株) 大宮事業所
フリーダイヤル:0120-38-6655

アスベストの対応

法規制の強化を踏まえて、アスベストを含有する製品(医療機器、印刷関連機器など)、富士フイルム各事業場の建物、設備・機器に関する使用量調査を2005年から行っています。現在、富士フイルムではアスベストに関する問題はありません。
今後も環境保全の観点から、自主管理を行い行政と連携した対応を行ってまいります。

  1. 販売製品
    現在販売中の製品については調査を終了し、問題は確認されていません。製品のアスベストに関する情報は、富士フイルムのサイトで公表していきます。
  2. 健康被害および健康相談
    当社の現従業員・元従業員に健康被害はありません。今後も必要に応じて各事業場の人事・勤労部門または健康管理センターが健康相談・診断の窓口として対応します。
  3. 建物(工場、オフィス、社員寮、体育館など)
    現行基準に則した調査を行い、対策が必要な箇所には2010年5月までに工事を実施し完了しています。
  4. 生産設備
    生産設備には断熱材・シール材にアスベスト含有部品を一部使用していますが、通常では飛散などもなく健康への影響はないと考えています。部品交換時には「作業の安全マニュアル」に従って作業する体制になっており、安全を確保しています。 また、アスベスト含有部品は代替品への切り替えテストを終了し、2007年度からの新規購入はすべて「非アスベスト品」といたしました。
  5. 実験設備(研究所、技術、品質保証部門)
    各部門で使用実態調査を2006年5月に実施し、該当設備の安全管理がされ、機器の交換・廃棄時には管理手順に従った作業体制で安全を確保しています。