海外生産拠点における取り組みの一部をご紹介します。
欧州連合指令に従ったリサイクルの推進(イギリス)
2007年、廃棄物埋め立てに関する欧州指令の規制が強化されました。印刷用インクを製造しているFUJIFILM Speciality Ink Systems Ltd.(FSIS)では、これを機に更なる環境配慮と廃棄物処理にかかる費用削減を同時に進めるため、次のような取り組みを行いました。
リサイクル内容
- 原材料容器のリサイクル:特別管理を要しない原材料用廃棄容器(330,000)の埋め立てを2008年に止め、梱包しなおしてリサイクルするようにしました。特別管理を要する原材料用廃棄容器は埋め立てからサーマルリサイクルするようにしました。
- 200リットルドラム缶のクローズドループ化:2010年に全ての200リットルドラム缶のリサイクルを実現しました。それ以前は、5300個以上もある200リットルドラム缶は、埋め立てるかスクラップとして廃棄していました。また、毎年およそ3000個の新品のドラム缶を社内用として購入していました。しかし、現在では、これら全ての200リットルドラム缶は回収・洗浄された再生品としてFSISが安価で買い取って使用しています。
- 特別管理を要する原材料を入れていたスチール、プラスチック容器のリサイクル:これらの容器(約75トン/年)は回収・洗浄された後、自動車のバンパー、通路規制に使われるセーフティーコーン、コート・ハンガー等に再利用されています。
多くの廃棄物をリサイクルできるようになりましたが、リサイクルが困難な廃棄物2.8%が埋め立て処理として残りました。しかし、FSISは更に検討を進め、2013年に2つの専門業者と交渉しリサイクル処理が難しい廃棄物をリサイクルすることができるようになりました。1つは廃棄粉末ですが、これはサーマルリサイクルに回しました。もう1つは不純物が付着したガラス容器ですが、これは破砕し他の物と混合された後、路盤材として利用されています。
このような取り組みは単に欧州連合指令に従って廃棄物リサイクルを行ったというだけでなく、廃棄物処理費用削減にもつながっています。
ゼロエミッションの達成と維持(ベルギー)
フォトレジストやフラットパネルディスプレイ材料の製造および販売をしているFUJIFILM Hunt Chemicals Europe, N.V.(ベルギー)では、2000年にゼロエミッションを達成し、以降も継続維持しています。現在は、リサイクルの質を高める活動に努め、化学廃棄物の発生を避けるため、ストック管理に力を入れています。基本的な考え方は「無駄の防止」で、在庫管理を適切に運用し、「期限切れ」を出さないことです。荷動きの悪い薬品は期限切れになる前に適切な条件の下で処理を施します。
リサイクル内容
- 工業用ラッピングフィルム、紙、ダンボール、木、スクラップ金属:リサイクルしています。
- すべてのプラスチック、60リットルのドラム缶、コンテナー:業者を通じて再利用するマーケットへ送っています。
- 薬品(現像液・定着液):補助エネルギーとしてセメント製造工程やRenoxal(製品名)の原材料として利用し、NOxの排出量削減につなげています。
- 汚染された包装用廃袋などの部材:焼却用燃料としてエネルギー循環に役立てています。
全ラボでISO14001を取得(フランス)
Laboratories FUJIFILM S.A.(フランス)は、フィルムの現像や写真のプリントなどを手掛けるラボで、2008年2月、フランス国内の全7カ所のラボで、ISO14001を認定取得しました。同社では、リサイクル率向上に取り組んでいます。
リサイクル内容
- 薬品(カラー現像液):65%リサイクル
- 薬品(漂白定着液):86%リサイクル
- 銀:平均85.47%リサイクル(2007年は3,156kgの銀を回収・販売。2008年の目標はリサイクル率90%)
- ドラム缶:2007年の廃棄量は前年比22%削減
- 「写ルンです」:2007年は197トンの「写ルンです」を回収・リサイクル
廃棄物削減プロジェクトを実施(ベルギー)
FUJIFILM Electronic Materials(Europe)N.V.(ベルギー)では、2007年度に廃棄物削減プロジェクトを計画的に実施しました。リターナブル包装の原料の集配の増加、過剰包装の廃止、一括配送による梱包ごみの削減などの施策を行い、廃棄物の総重量換算で、2001年の3,465トンから2006年の1,750トンの削減となっています。
写真用印画紙のリサイクルプロジェクト(中国)
富士フイルム香港(中国)では、富士フイルム富士宮工場で製造される写真用印画紙やインクジェットプリンター用紙の損紙のリサイクルプロジェクトを2005年に立ち上げました。これらの用紙は、薬品などが塗布されているため、特別なリサイクル処理を施す必要があり、中国で処理工場を探し、リサイクル技術の確立を行いました。写真用印画紙やインクジェットプリンター用紙を原紙、プラスチックフィルム、製紙用パルプ、銀などに分離し、実用レベルの素材に再生させます。2006年6月から発生した損紙を日本から厦門(アモイ)のリサイクル工場へ送り、2008年から本格的に稼働させました。年間約300トンの損紙リサイクルを見込んでいます。