生活習慣病・がん・新型コロナウイルス感染などの予防や重症化を防ぐためには、健康的な生活習慣を身につけることが重要であることから、2020年に富士フイルムグループ「7つの健康行動」を設定して、グループ従業員に実践を呼びかけています。 そして「7つの健康行動」各項目の実践度を定期的に確認し、グループ全体の健康水準の向上を図っています。
週1回以上、体重をはかる
自分の健診結果を確認する
週1日以上、お酒を飲まない日をつくる
1日6時間以上の睡眠をとる
平均30分/日以上歩く
直近の歩活(あるかつ)にエントリーする
たばこを吸わない
2023年11月に「7つの健康行動」の実施状況を確認しました。(年に1回実施状況を確認しています)
「7つの健康行動」を実践している項目数とパフォーマンス発揮度*1、ワークエンゲージメント*2には相関関係があるため、従業員が日々の生活の中で「7つの健康行動」を7つとも実践するように取り組んでいます。
富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング 第8製造本部(熊本)では、定期健康診断の待ち時間を利用して目に留めてもらう工夫を。
パネルや、会場の椅子の背面にクイズを出題。
国内グループ全体で、チームを組んで平均歩数を競うゲーム感覚のウォーキングイベント「みんなで歩活」を2016年から春・秋の年2回実施しています。普段あまり歩かない層がイベントをきっかけとして歩くなどの行動変容もみられ、参加人数も回を追って増加しています。
2022年度からは、会社・健康保険組合・従業員組織(労働組合/社員会)の共催で、国内グループ会社対抗戦「歩活甲子園」を導入し、表彰式では優勝会社にトロフィーを授与するなど、国内グループ会社40社(2024年春)が参加し競い合いながら、グループ全体で楽しく健康づくりに取り組める施策を展開しています。
国内グループ各社でそれぞれの運用を行なっていましたが、2019年度からは、統括産業医の定めた基準値以上の健康高リスクのグループ内従業員に対して、富士フイルムグループ健康保険組合との連携で、自宅に直接受診勧奨のレターを送付しています。さらにその後、確実に受診につながるように、各社の産業保健スタッフがフォローをしています。
がん対策については、従来、神奈川県南足柄市の「富士フイルム健康管理センター」で、従業員のがん検診を行ってきました。さらに2014年、富士フイルム西麻布ビル1階に「富士フイルムグループ西麻布内視鏡クリニック」を開院しました。胃がん検診の上部内視鏡検査(胃カメラ)では、鼻からの挿入で咽頭反射による嘔吐感を軽減する経鼻内視鏡など、富士フイルム独自の先進技術を搭載した内視鏡システムを採用しています。
また2022年4月には、富士フイルムビジネスイノベーションの横浜みなとみらい事業所に、富士フイルムグループ健康保険組合が、従業員向けの健康診断を実施する健診施設として「富士フイルムメディテラスよこはま」を開設しました。内視鏡やマンモグラフィなど、富士フイルム製の最新の医療機器や、AI技術を活用した医療ITシステムを導入するなど、国内グループ従業員に高品質な健康診断を提供することを目的としており、2023年6月から人間ドックを、2024年1月からCT検査の受け入れを開始しています。
2025年度中に、国内グループ従業員のがん検診受診率(胃がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がん)90%以上達成を目指します。がんを早期に発見し、適切な治療を受けさせることで、「在職中にがんが原因で亡くなる従業員を出さない」という強い思いをもって対策を進めていきます。
がん検診 | 検診方法 | 対象 | 検診期間 |
---|---|---|---|
胃 | 内視鏡(X線) | 35歳・40歳以上 | 毎年 |
食道 | |||
大腸 | 便潜血 | 35歳・40歳以上 | 毎年 |
大腸内視鏡 | 50歳以上 | 在職中1回 | |
乳房 | 超音波(~39歳) | 女性 | 毎年 |
マンモグラフィ(40歳~) | |||
子宮 | 細胞診 | 女性 | 毎年 |
前立腺 | PSA(血液) | 50歳以上男性 | 隔年 |
肺 | 胸部ヘリカルCT検査 | 40歳以上 | 毎年 |
肝臓・腎臓・膵臓・胆道 | 超音波 | 35歳・40歳以上 | 毎年 |
日本で罹患率の高い「大腸がん」について、従業員の理解促進と大腸内視鏡検査の重要性を周知しています。
便潜血検査陽性者には全員、国内グループ各社の産業保健スタッフから大腸内視鏡検査の受診を勧めてフォローしています。また50歳になる従業員には富士フイルムグループ健康保険組合から個別にメールを配信して、大腸内視鏡検査を勧めています。
2019年度は、7月に富士フイルム西麻布内視鏡クリニック院長の横山知子医師による「大腸内視鏡検査のすすめ」を本社で開催、165名が参加しました。またこの講演動画を社内の「健康ポータルサイト」を通じて、全国の従業員に公開しています。
2022年度は、9月に富士フイルムグループの国内全従業員約43,000名向けのeラーニングで、横山医師による「胃・大腸がん検診のすすめ」を実施しました。がん検診の大切さや、胃・大腸内視鏡検診の重要性について、より理解が深まり、検診受診につながる活動となりました。
がん検診受診率をあげていくため、よりニーズに合った検診機関の選択や定期健診への組み込み、啓発活動を進めてきました。2023年度から胃がん検診は、上部内視鏡検査(胃カメラ)での受診を基本とする方針を健康経営推進責任者会議で説明、「健康ポータルサイト」へも掲載し、グループ全体へ周知しました。
国内グループ全体で、2015年から就業時間内禁煙を推進し、2019年からは月に1回、終日禁煙デーを設けて、喫煙者が禁煙に踏み出す環境づくりを進めてきました。
さらに、喫煙者の禁煙支援とともに、会社生活での受動喫煙防止を徹底するため、2020年10月には、就業時間内禁煙を富士フイルムグループの国内グループ会社全社で就業規則に明文化し、会社敷地内喫煙所をすべて閉鎖しました。また委託会社や構内協力会社にも健康経営の方針を説明し、敷地内禁煙を共同で実施しています。
- 富士フイルムグループ健康保険組合とのコラボヘルスで、禁煙するための各種プログラムを用意して、従業員の禁煙がスムーズに進むようにサポートしています。
- オンライン禁煙プログラム
多忙な従業員が手軽に取り組めて、確実に禁煙ができると好評です。2019年9月の健康経営宣言制定後、累計638名の応募(2024年9月現在)があり、卒煙をめざしました。 - 禁煙パッチ・禁煙ガムの無償配布
2020年度からの新たな施策。ハードルを低くして、禁煙へのチャレンジを支援しています。禁煙パッチ(5,000円相当/1名)は1,176名、禁煙ガム(5,000円相当/1名)は545名の応募があり、多くの従業員が禁煙への1歩を踏み出しました。
- オンライン禁煙プログラム
- 各事業所内にある健康管理室でも随時、禁煙外来を受け付けています。
そのほか、役員の禁煙成功談を社内の「健康ポータルサイト」にシリーズで掲載したり、社内報で禁煙特集を組むなど、全社で禁煙化への風土醸成を行なっています。
2022年度は、喫煙率の高い事業所にて、専門医による禁煙セミナーを開催し、セミナー動画を従業員に配信、「健康ポータルサイト」へも掲載し、いつでも視聴できるようにしました。2023年度には、グループ全体の健康経営責任者である富士フイルムホールディングス人事部長から、国内グループ各社社長宛に「禁煙に対する取り組みの更なる加速のお願い」レターを発信し、グループ方針の再徹底をはかりました。
毎年11月、富士フイルムグループの国内全従業員を対象としたストレスチェックを一斉に実施しています。2021年度からは、国内グループ各社でストレスチェックの組織分析を実施しています。
その結果をもとに、健康リスクが高い職場については、産業医、人事部門で連携し、職場ミーティングを行ったうえで、原因分析、改善策を立案して、職場環境改善に取り組んでいます。
また、従業員自身でストレスチェックと同じ内容のセルフチェックが、いつでもできるようグループ共通のツールを整えています。2023年3月に、富士フイルムグループメンタルヘルス統括医(産業医)が、ストレスチェック(セルフチェック)結果の見方と活かし方から、ストレスとは何かを知ること、ストレスに気づけるようになること、対処方法の基本的な考え方を理解すること、を目指したメンタルヘルスセルフケア研修の動画を社内の「健康ポータルサイト」で公開しています。
2021年6月には、富士フイルムグループの国内全役員・管理職を対象としたラインケア研修をeラーニング形式で実施しました。
冒頭、健康経営責任者である富士フイルムホールディングス人事部長が「メンタルヘルスは健康経営®の重点課題」として、「部下への健康の配慮や指導の必要性、特にコロナ禍でのきめ細やかなマネジメントの重要性」などについて述べています。
そして、富士フイルムグループメンタルヘルス統括医(産業医)が、経験や知見もふまえて「職場におけるメンタルヘルス対策の意義」、「メンタルヘルス対策において管理職に求められること」を直接講義し、管理職からは「上司として部下への対応の重要性が身に染みた」「部下が相談できる上司でありたい」と有意義な研修であったコメントが多く寄せられました。
またグループ全体で、新任役職者全員に対して、共通のメンタルヘルスマネジメントガイドを用いた教育を実施し、予防的な取り組みを推進しています。
2022年度からは、メンタルヘルス相談窓口(電話・Web・面談)を設置し、24時間サポートできる体制を構築しました。2023年度には、富士フイルムグループの国内全従業員向けeラーニングとして、ストレスに折れないメンタルの作り方「レジリエンス」を実施しました。
長時間労働による健康障害の防止に向け、グループ全体でヘルスチェックの仕組みを活用しています。所定外労働時間が単月80時間以上、四半期平均45時間以上の場合は、ヘルスチェックアンケートの実施、上長面談、産業医面談を実施し、健康の確保や業務上の配慮を行ないます。
労働時間管理については、2019年4月の法改正に対応して富士フイルムグループ方針を策定し、その方針に基づきグループ全体で社内ルールの見直し、徹底を行いました。また富士フイルムグループの国内全従業員に対し、法令遵守や労務管理の基礎知識を底上げするためのeラーニングを実施しました。
そのほか、労働時間上限到達前や勤怠未登録者を対象に自動でアラームメールを配信するなど、ITを活用して、適切な健康管理や勤怠管理を行なう仕組みも強化しています。
その結果、富士フイルムでは、2023年度も単月の所定外労働時間80時間以上に該当する人数を大幅に削減できています。
富士フイルムグループ健康保険組合では、2016年度から国内グループ会社の健康状況をデータに基づき、数字やグラフなどを使ってわかりやすく示した「健康通信簿」を各社ごとに発行し、富士フイルムホールディングス人事部健康推進グループと連携して、展開しています。健康リスクが高い会社には経営層に直接説明を行ない、グループ各社が取り組むべき健康課題を明確にし、施策に反映し実践しています。
会社の女性保健師が女性従業員の相談を受け、社内の専門スタッフに相談して、適切なアドバイスをしています。
2019年10月
~100年を生きる時代の女性の健康セミナー~
外部の産婦人科医を招いて、「女性の健康マネジメントと社会利益~もっと知ろう!女性のからだとヘルスリテラシー」と題したセミナーを開催。女性の健康課題や世代ごとのリスク、健康でいきいきと働くためのヒントなどをご講演いただきました。計2回(ミッドタウン本社、横浜みなとみらい事業所)開催し、160名が参加しました。
参加者アンケートからは「自分の心と身体に向き合うことの大切さを知った」などをはじめ、健康や健康で働くことへの関心が高まった様子が伺えました。
当日の資料を社内の「健康ポータルサイト」で公開しています。
2020年10月
2020年度は、10月に日本のマンモグラフィ検診の標準化を実現し、更なる健診受診率および精度の向上に努められている放射線科医師の遠藤登喜子先生によるオンラインセミナー「乳がん検診の大切さ」を開催しました。
また同時に富士フイルムのマンモグラフィ診断装置開発者から開発秘話についても紹介されました。当日は国内の富士フイルムグループ会社の従業員約450名が参加しました。
参加者アンケートからは「乳がんが理解でき、検診受診の重要性がわかった」、 「先生の丁寧な説明により、良い勉強になった」、「富士フイルム製品を知ることができた」、「家族や周囲に受診を勧めたい」など大変好評でした。
この動画も社内の「健康ポータルサイト」により、全国の従業員に公開しています。
2022年9月
産業医による乳がんのセミナー動画を国内グループ会社の全従業員に配信し、乳がんについて理解を深め、受診促進につなげています。
2022年11月
~働く女性の健康応援セミナー~
外部の産婦人科医/心療内科医によるウェビナーを開催。女性のココロとカラダを学ぶことで、当事者自身がパフォーマンスを上げるセルフコントロール術を習得すること、周囲がパフォーマンスを上げるサポート力を習得することを目的に、8個のよくある質問をベースに参加者と双方向のクイズ出題などを交えてご講演いただきました。当日はグループ会社従業員351名(内、男性84名24%)が参加。男性参加者のアンケートからは、「やさしさの半分は知識である、デリカシーの無さは当事者の痛み/苦しみに対する無知が原因という言葉が印象に残った」、「女性の心身の周期について知ることは非常に重要だと改めて感じた」、「周囲の上長や同僚(男性社員)向けにも実施してほしい」など、女性の心身について理解が深まったことが伺えました。
2023年8月
ライフステージによる心身のさまざまな不調を理解することは、自らの健康の維持増進において大切なことです。女性だけの問題だと思われがちな更年期について、男性にも訪れることや、若い方もいずれ通る道であるということを理解して、対処していくために、産業医で婦人科専門医によるeラーニング「更年期の理解とセルフケア」を実施し、グループ会社従業員46,377名が受講しました。
2024年2月
女性の病気リスクは年代によって異なり、ライフステージごとにさまざまな疾患リスクがあります。年齢や疲れによるものなどと判断して、治療が遅れることで知らない間に病気が進行してしまうこともあります。女性従業員が気軽に上司、同僚に相談できる環境や雰囲気づくりと、相談される側が女性従業員の悩みを親身に受けとめるために必要な知識を身につけておくことが大事です。女性特有の疾患に関して正しく理解し、対処していくため、役職者を対象に産業医で婦人科専門医によるeラーニング「女性特有疾患に関する理解~今後の対応を考える~」を実施し、グループ会社の役職者9,400名が受講しました。
富士フイルムグループでは、がん対策も重点領域の一つとして、早期発見、早期治療に注力し、婦人科がん検診の受診率目標90%以上の達成を目指しています。婦人科がん検診を定期健診に組み込み、受診啓発活動を進めたことにより、グループ全体で着実に受診率が向上しています。(乳がん検診、子宮頸がん検診は、富士フイルムグループ健康保険組合からそれぞれ上限8,000円/年の検査費用補助あり)。
【特集】 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への取り組み