X線画像やCT画像で肺部分に白っぽい影として映る肺結節*1は、肺がんなどに罹患している可能性を示します。肺がんは、悪性新生物(腫瘍)の中でも死亡数・死亡率が高く、早期の発見・治療にはその兆候を示す肺結節の早期発見が重要です。富士フイルムは、画像診断を行う医師の業務負荷の軽減やワークフローの効率化に寄与するため、胸部CT画像から肺結節の候補を自動検出する画像診断支援機能と、医師が確定した肺結節の性状を分析し、医師の所見文作成を支援する技術を、AI技術*2を活用して開発しました。
外科手術後のガーゼ遺残は、合併症や感染などを引き起こす恐れがある重大な事故で、医療機関からは見落とし防止に役立つ技術が求められています。富士フイルムは、AI技術*2を用いて、X線画像に映った外科手術に使用する手術用ガーゼを認識してマーキングすることで、術後の患者体内のガーゼ遺残有無の確認を支援可能にしました。
医療機関では入院や救急搬送の受け入れ時に、患者のCOVID-19の感染有無を確認するため、PCR検査や抗原検査と併せて補完的に胸部CT検査を行うケースがあり、画像診断に携わる医療従事者の業務負荷軽減が課題となっています。富士フイルムは、胸部CT画像に対して、COVID-19肺炎の特徴的な画像所見が含まれる可能性(確信度)の表示や、確信度の判定に関わる領域のマーキング表示により医師の診断を支援する技術を、AI技術*2を活用して開発しました。
研究機関や医療機関による画像診断支援AI技術の研究開発を支援するため、富士フイルムは国立がん研究センターと「AI開発支援プラットフォーム」を共同開発しました(2021年4月発表)。プログラミングなどの高度な工学的知識がなくても、医師や研究者が画像診断支援のAI技術(ソフトウエア)を開発することができる研究基盤システムで、今後、二者共同で同プラットフォームの研究活用と有用性の検証を進め、富士フイルムが製品化を目指します。