新型コロナウイルス感染症などさまざまな疾病の検査に用いられる、CTスキャンなどによる画像診断。その実施には、医師が撮影画像で病変有無などの観察を行い(読影)、その結果をレポート文として記録することが欠かせません。近年、撮影装置の進化に伴い、短時間に多くの画像の取得が可能となった分、読影にあたる医師の業務負荷が増大し、多くの医療現場で課題となっています。
富士フイルムと富士フイルムビジネスイノベーション(旧・富士ゼロックス)が共同開発した“読影レポート生成技術”は、読影レポートに記載する文章候補を自動生成します。医師の読影業務の負荷を軽減し、医療現場の働き方改革を促進するだけでなく、患者とのコミュニケーションなどにより多くの時間を割くことにもつながります。
読影レポートの生成を支える主な技術は、富士フイルムの画像認識技術と、富士フイルムビジネスイノベーションで培ったテキスト自動生成技術です。前者は、写真や医療機器などの分野で培った、膨大な画像から特定の内容の画像部分を自動的に見つけ出すことができる技術。後者は、例えば商品説明文の内容に合致したキャッチコピーを作成するといった、文章の作成・要約などをAIで自動化する技術で、複合機を中心としたドキュメント関連製品を研究開発する中で育まれた自然言語処理技術*1が基になっています。
これらの技術を基盤に、両社の研究開発者がプロジェクトチームを組み、日々読影業務に携わる複数の医師から適宜助言を得ながら、技術の確立を進めてきました。「画像」と「言語」の両方の知見や技術を併せ持ち、かつ画像診断装置などの事業を通じて医療機関と豊富なパイプを持つ富士フイルムグループだからこそ実現できた技術といえます。
- 医療画像情報システム市場で国内首位のシェア
- 写真や医療などの分野で培われた画像認識技術
- 医療機器の製造・販売で蓄積された医療分野の豊富な知見
- ドキュメント分野で培われた自然言語処理技術
- 自然言語処理技術を用いたテキスト自動生成技術
- 自然言語処理技術の実証実験で培われた仮説検証力・知見