富士フイルムグループでは、自社開発のデジタルトラストプラットフォーム(DTPF)を活用し、部品の安定調達に向けて、ブロックチェーン技術を使ったサプライヤーさまとのオープンでセキュアな分散型情報連携システムの仮説検証に取り組んできました。2023年7月より実運用を開始しています。この取り組みでは、在庫最適化を実現するため、メール/電話/FAXによる上流から下流、あるいはその逆の非効率かつ不確実な情報のやりとりを解消しました。データを流すのではなく、信頼できるデータを中心に置いて、当事者同士がそのデータを見ながら、迅速かつ信頼できる情報のやり取りを実現しました。その結果、会社間取引の信頼が担保され、「生産計画」開示によって、サプライヤーは生産能力確保や素材調達の先手管理が可能になり、「確度の高い納期回答」を受領できるようになりました。これまでの検証から、川上から川下までのサプライチェーンの全体改革の中で、安定調達や余剰在庫削減など「在庫最適化」が期待できることを確認できました。
今後は、スマートコントラクトを使った業務の自動化などにも取り組んでいきます。
デジタルトラストとは情報の担い手や法人などが本物であること、その情報が改ざんされていないことを保証することを言います。
DTPFは、ブロックチェーンなどの技術を活用して、「悪意ある第三者によるなりすまし、フェイク情報の混入、情報の改ざんなどのリスクに対応」した複数ステークホルダー参加型のデータ共有プラットフォームで、プラットフォームに参加する誰もが相互の信頼をベースに情報を共有、連携することができるオープンな環境を提供します。
上図では、まず、グローバルに広がるサプライチェーンに参加するさまざまな役割を持つ企業や個人による個別の活動の情報が、それぞれのシステムの枠を越えてデジタルトラストプラットフォーム上で共有・連携することで、現実世界の活動をデジタル空間にマッピングします。
次に、AIやシミュレーションによってサプライチェーン全体での最適解をデジタル空間上で計算し、その結果を現実世界にフィードバックすることで、エネルギー低減、コスト削減、利便性の向上などの価値を創出します。具体的には、お客さまの需要、販売拠点や生産拠点の在庫、それを踏まえた生産計画の立案、サプライヤーさまからの調達計画、生産・配送の実施までのシミュレーションを可能にしていきます。