ニュースリリース

2021年12月22日

新たな脱炭素目標を策定

富士フイルムホールディングス 2040年度までにカーボンゼロを目指す

新たな環境戦略「Green Value Climate Strategy」の下、脱炭素化を加速

富士フイルムホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、脱炭素社会の実現に向け、新たなCO2排出削減目標を設定しました。新たな目標では、2040年度までに自社が使用するエネルギー起因※1のCO2排出を実質的にゼロとすること(カーボンゼロ)を目指すとともに、原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るまでの自社製品のライフサイクル全体において、2030年度までにCO2排出量を50%削減(2019年度比)します。本目標の達成に向け、富士フイルムグループ環境戦略「Green Value Climate Strategy」を新たに策定し、環境負荷の少ない生産活動や優れた環境性能を持つ製品・サービスの創出・普及を推進していきます。

現在、当社は、2030年度をターゲットとしたCSR計画「Sustainable Value Plan 2030」(SVP2030)の下、「事業を通じた社会課題の解決」と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」の両面で気候変動対策を進めています。これまで、環境に配慮した製品・サービスの開発やエネルギー効率の高い生産設備への切り替えなどにより、CO2排出削減を着実に進めてきました。2020年7月には、それまでの目標であった「2030年度までに自社製品のライフサイクル全体でのCO2排出量を30%削減(2013年度比)」を「45%削減(2013年度比)」に上方修正し、2020年度実績では41%削減(2013年度比)を達成しています。

今回、当社が策定した新たな脱炭素目標は、パリ協定で定められている「1.5℃目標」に整合したものです。本目標の達成に向け、「Green Value Climate Strategy」に基づいた施策の遂行に加え、インターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)を新たに導入し、国際社会の喫緊の課題である気候変動への対応を強力に推進していきます。

  • ※1 製品の製造段階における自社からの直接排出(Scope 1)と他社から供給された電気・蒸気の使用に伴う間接排出(Scope 2)。
今回改定するCO2排出削減目標
  新目標 従来目標
①自社の製品ライフサイクル全体における2030年度までのCO2排出削減比率 2019年度比50%
(2013年度比65%)
2013年度比45%
②自社が使用するエネルギー起因のCO2排出ゼロ達成年度 2040年度 2050年度
① 自社の製品ライフサイクル全体におけるCO2排出削減のイメージ図
製品ライフサイクル全体におけるCO2排出削減量の実績と目標
[グラフ]2040年度までの製品ライフサイクル全体におけるCO2排出削減量の実績と目標
② 自社が使用するエネルギー起因のCO2排出削減のイメージ図
「Scope 1・2」におけるエネルギー起因のCO2排出削減ロードマップ
[グラフ]2040年度までの「Scope 1-2」におけるエネルギー起因のCO2排出削減ロードマップ
新目標の達成と脱炭素社会の実現に向けた施策

富士フイルムグループ環境戦略「Green Value Climate Strategy」を新たに策定。「環境負荷の少ない生産活動(Green Value Manufacturing)」と「優れた環境性能を持つ製品・サービス(Green Value Products)の創出・普及」の二軸で構成された本戦略の下、新目標達成に取り組む。

施策
1. 環境負荷の少ない生産活動(Green Value Manufacturing)の推進
  • ディスプレイ材料などの各種高機能フィルムの生産プロセスで使用され、富士フイルムグループのエネルギー構成の約半分を占める燃料の脱炭素化を実現するため、高機能フィルムの主力生産拠点である神奈川事業場足柄サイトおよび富士宮事業場を「カーボンニュートラルモデル工場」と位置付ける。これらの事業場で水素や合成メタンなどのCO2排出を伴わない燃料の導入と実装を推進。
  • CO2排出削減効果の大きいフロー合成法※2による生産プロセスを適用した化成品ラインアップの拡大や、バイオ医薬品の生産プロセス開発・製造受託事業における高効率・高生産性の追求と需要地に近い生産拠点の配置などにより、社会でのCO2排出削減に貢献。
  • ※2 直径数百ミクロン~数ミリメートル程度の極細な管に、原料である化学物質を連続的に供給して混合・反応させる化学合成法。生産量にあわせて一定の原料を連続的に投入し、反応条件を精緻に制御できるため、加熱冷却に必要なエネルギーを抑えられる。溶剤量や廃棄物量の削減も可能で、従来のバッチ合成法と比較して、環境負荷を低減できる。
2. 優れた環境性能を持つ製品・サービス(Green Value Products)の創出・普及
  • 気候変動への対応、資源循環、有害物質などの環境リスクの低減、廃棄物削減など、環境配慮に関する一定の基準を満たした自社製品・サービスを富士フイルムグループ「Green Value Products」とする制度を2018年度から運用。
  • グループ共通のランク(ダイヤモンド・ゴールド・シルバー)を設定し、これまで166製品を富士フイルムグループ「Green Value Products」に指定。
  • 富士フイルムグループ「Green Value Products」の売上を全社の6割とする目標を2020年度に設定。
[画像]グループ共通の認定ランク
[ロゴ]FUJIFILM group Green Value Products
  • * 標準的な環境配慮製品: 製品開発時に環境への影響を配慮し、業界標準レベルで環境負荷を低減する製品・サービス
ランク名 ランク指定条件
ダイヤモンド 革新的な技術を用いて業界トップレベルを上回る環境負荷を低減する製品・サービス
ゴールド 業界トップレベルで環境負荷を低減する製品・サービス
シルバー 業界の標準レベルを上回る環境負荷を低減する製品・サービス
  • * 本制度は、国際標準化機構(ISO)が定める国際規格ISO14021に準じて設計
3. 新環境戦略に沿った事業別目標の設定
  • 新目標をベースに、全14事業において自社が使用するエネルギー起因のCO2排出削減目標を設定した他、各事業のバリューチェーンでの位置づけや取り扱う製品・サービスの特性に応じた目標も設定。
(1)原材料調達や製品使用時におけるCO2排出量が大きい事業:
バリューチェーンにおけるCO2排出削減目標を設定。
(2)社会でのCO2削減効果が大きい製品・サービスを展開する事業:
データ保管時に常時通電する必要がなくCO2排出量を大幅に削減できる磁気テープなど、社会でのCO2削減効果が大きい製品・サービスを展開する事業では製品別の社会貢献目標を設定。
4. インターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)の導入
  • これまでリスク評価の手法として取り入れていたインターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)を、投資判断の一つの指標として本格的に導入。将来的な炭素価格や排出権価格による財務影響を投資判断に反映させることにより、脱炭素化社会を見据えた事業運営を実施。

富士フイルムグループは、今後も気候変動問題の解決に向けた積極的な取り組みを継続していくことで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

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報道関係

富士フイルムホールディングス
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ

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