富士フイルムホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO:後藤 禎一)は、創業の地である神奈川県南足柄市の当社社有林を中心とする森林「富士フイルム 湧水の森林(もり)」と静岡県富士宮市の富士宮事業場内に設けた「富士フイルム 癒しの小径(こみち)」が、「自然共生サイト」*1に認定されたことをお知らせします。地域生物多様性増進法に基づき認定される「自然共生サイト」は、企業の森や都市緑地など民間の取り組みなどにより生物多様性の保全が図られている区域です。
富士フイルムは、祖業である写真フィルムの製造に清浄な水と空気が不可欠であったことから、創業以来、環境保全に積極的に取り組む姿勢をDNAとして受け継いできました。富士フイルム神奈川事業場 足柄サイトの近隣に位置する「富士フイルム 湧水の森林」は、1934年の創業以降、当社が周囲の自然と共生してきた場であり、当社の環境保全を重視する方針の原点となる場所です。当社は、今回認定を受けた二つの自然共生サイトにおいて、水をはじめとする自然の恵みを享受し、地域のステークホルダーとともに森林、湧水、河川の保全活動を進めてきました。今回の認定では、これらの保全活動に加え、自然環境への負荷低減に努めた事業活動により、地域の希少種を含む豊かな生態系の保全に貢献してきたこと、そして今後も保全活動を継続するための中期的な計画を制定していることが評価されました。
当社は、2030年度をゴールとするCSR計画「Sustainable Value Plan 2030」の環境重点課題の一つに「生物多様性の保全」を掲げています。すべての生命の源である水は、当社の事業活動に不可欠であることから、当社では事業拠点における水リスクの評価、生産工程での水の再利用や雨水の利用、水源を維持するためのかん養林やかん養田の整備、また生物多様性に配慮した原材料調達など、さまざまな活動を行っています。さらに、当社は30by30アライアンス*2に加盟するとともにTNFD提言*3に基づく自然関連の情報開示を推進しています。
当社は今後も、すべての事業活動が自然環境から恩恵を受け、また自然環境に影響を与えていることを認識し、事業活動を通じたサステナブル社会の実現に貢献していきます。

富士フイルム 湧水の森林(もり)

富士フイルム 癒しの小径(こみち)
神奈川県南足柄市の富士フイルム神奈川事業場 足柄サイトの近隣にある社有林を中心とする12.92haの森林で、シラカシやケヤキなど自生する広葉樹とスギ・ヒノキなどの植林から構成され、箱根外輪山を水源とする複数の湧水が存在しています。
当社は1934年の創業以来、これらの湧水を写真フィルムやディスプレイ材料などの製造に使用してきました。排水や大気排出などにおいて自然環境に配慮した厳しい自主基準を採用するとともに、水源を維持するために涵養林の定期間伐、湧水の水質・水量確認、草刈りや清掃による整備などの保全活動を継続してきました。
その結果、現在は樹木が大きく育ち、それを住処にするムササビやフクロウをはじめ、多様な動植物からなる健全な生態系が維持されています。そしてエビネなどの植物のほか、アカハライモリ、キセキレイなどの里地里山環境に特長的な希少種や、清涼な湧水のみに生育する種も確認されています。
富士フイルム 富士宮事業場には、構内に富士山を水源とする清涼な湧水が湧き出ている箇所が複数あります。同事業場は、これらの湧水を水資源として生産に使用しています。生産に使用した後の排水は、事業場内の処理施設において、規制で求められる水質基準を上回るレベルの浄化処理を実施しています。さらに、同事業場は、従業員と地域住民が事業場周辺や近隣河川での清掃活動を実施し、環境の保全に貢献してきました。
当社は事業場内の自然環境保全や従業員の福利厚生を目的に、2006年に事業場内を流れる清水川に沿って遊歩道を整備し、2016年に「富士フイルム 癒しの小径」と命名しました。今回、自然共生サイトに認定された遊歩道周辺の約2haにおよぶ緑地では、湧き出た湧水が清水川に合流し、清涼な湧水のみに生息するカワヂシャやバイカモなどの水草を育み、カジカ、カワヨシノボリなどの魚類、カモ類、サギ類などの鳥類からなる河川を中心とした豊かな生態系が形成されています。また、緑地の一部は常緑広葉樹のスダジイやアラカシなど自然林に近い景観を示しており、林床には希少なキンランやエビネなどの植物が確認されています。
- *1 国際目標「30by30(2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する)」を日本で達成するため、環境省が企業の森や里地里山・都市の緑地などを対象に生物多様性が保全されている区域や、保全に向け活動する区域を「自然共生サイト」として認定する制度として2023年に創設。2025年4月に農林水産省・国土交通省・環境省が共同制定した「地域生物多様性増進法」により法制化。
- *2 「30by30アライアンス」とは、日本で30by30目標(2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標)を達成するために各種施策を実効的に進めていくための企業・自治体・団体による有志連合。
- *3 企業が自身の経済活動による自然環境や生物多様性への影響を評価・開示する枠組みを構築していくことを目指す国際イニシアチブTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、自然関連財務情報開示タスクフォース)による開示フレームワーク。
富士フイルムホールディングス株式会社
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
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