富士フイルムグループは、安全、安心な社会づくりのために、様々なリスクに対応する製品の開発を進めています。2018年度は、2017年に提供を開始した社会インフラ画像診断サービスについて、長崎県・長崎大との協業により診断を効率化する研究を開始(トピックス参照)したほか、セキュリティ対策として近年需要が高まる遠望監視カメラの分野に新たに参入しました。長年培ってきた光学技術と最先端の画像処理技術を結集し、高い防振性能、高速・高精度AFなど、従来の遠望監視カメラが抱える課題を解決する画期的な製品です。また、2019年9月には、従来比2倍の最大記録容量30TBを実現した磁気テープストレージメディア「FUJIFILM LTO Ultrium8 データカートリッジ(LTO8)」を発売しました。富士フイルムは、2011年に世界で初めて磁気特性・長期保存性に優れる微粒子「BaFe磁性体」を用いた磁気テープを実用化、高性能・高品質な大容量磁気テープの開発に取り組んできました。今後は、LTO8をデータアーカイブストレージシステムと組み合わせ、省エネルギーを実現しながら大容量データを保管したいというニーズに応えます。
富士フイルムは老朽化した社会インフラ整備の問題に対応し、2018年4月に医療用画像診断システムで培った高精度な画像解析技術を活用した社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」の提供を開始しました。橋梁やトンネル等の点検作業時間を半減化する画像診断サービスで、すでに500社以上に導入いただいています。
さらに2019年3月には長崎県長崎市に「Brain(s)九州」を開設しました。当社グループの画像解析・AI技術と、長崎大学が有する土木工学・社会インフラ維持管理の知見を融合させ、社会インフラ点検に向けたAI技術を共同で開発すると共に、国内で最も島が多く、それらを結ぶ橋を多数保有する長崎県の協力を得て、県内の橋梁施設などを対象に、開発したAI技術による実証実験を行っていくのが目的です。現在、「ひび割れの損傷度判定AI」及びコンクリートの剥離や鉄筋の露出、漏水など、ひび割れ以外の5つの重要損傷をカバーする「多項目点検AI」を開発し、実用化に向けて長崎県内の複数橋梁にて実証実験を実施中です。