富士フイルムグループは、開発した製品について、均一な品質を確保し、安定的に提供することが、お客さまからの信頼獲得の基盤であり、社会への貢献につながると考え、これを創業以来の企業活動の原点としてきました。当社はデジタルカメラや医療用の画像システム、バイオCDMOやライフサイエンス事業、印刷や複合機などのドキュメントシステム、半導体材料やディスプレイ材料など、多種多様な事業領域において製品・サービスを提供しています。近年のデジタル化に伴う市場環境の変化や、技術の進歩は大変大きなものですが、すべての分野においてお客さまからの「信頼」「期待」にこたえ続けるため、製品・サービスについて厳格な品質マネジメントシステムを構築・運用するとともに、継続的に更新を図っています。
富士フイルムグループは、最高品質の製品・サービス提供のため、グループとして「品質方針」を制定し、それに従い、品質改善やリスクの低減を図っています。また総合的な品質管理のため、生産部門を中心にISO9001(品質マネジメントシステム)を含めた統合マネジメントシステムIMS*1を導入し、改善効果を高めています。
富士フイルムグループは、最高品質の製品・サービスを提供するために、本方針に基づき事業を展開します。
- 社会の要請にこたえるべく顧客満足と信頼の獲得を目指します。
- 先進、独自の技術により、市場における最高水準の品質と安全を追求します。
- 製品・サービスに関するコンプライアンスを徹底します。
- 製品・サービスの品質、安全について、正確かつ適切に情報を公開します。
- 市場からの声を真摯に受け止め、品質改善に継続的に取り組みます。
専門家による検証/監査/認証システム詳細 (国際的な認証であるISO9001) |
範囲:45% 対象拠点数:47 認証拠点数:21 |
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社内の専門家による検証/監査/認証システムの詳細 | 範囲:55% 品質方針に則り検証しています。 対象拠点数:47 認証拠点数:26 |
当社における品質マネジメントシステム(QMS)のカバレッジ (上記2種の合計) 100% |
100% |
富士フイルムグループでは、新製品(既存製品の改良を含む)の開発にあたり、製品の企画立案から試作品検討(プロダクトレビュー)に至るプロセスの各ステージにおいて、「目標とする品質への到達度」だけでなく環境・安全、法規制、さらにユーザー視点での検証を実施しています。
富士フイルムでは、生産技術シンポジウムやナレッジフェスタをはじめ研究所や工場の各部門でも、品質と商品安全を対象にした小集団活動による品質改善活動発表の機会を毎年実施し、人事や技術情報の交流に加え従業員や組織のモチベーションアップ・活性化を図っています。これらの活動は、部門・専門領域を超えた人と技術の交流を図り、新たな発想を生むきっかけとなっています。優れた活動には表彰制度が設けられており、大きな成果を挙げた活動は国内外を問わず表彰され活性化が図られています。
富士フイルムグループでは、企業行動憲章に「製品・サービスの安全性への配慮」を掲げ、世界各国の法規制を遵守した製品安全レベルの向上を図るとともに、「製品安全規程」をもとに、グループ会社を含め一貫した製品の安全管理を実施しています。また製品安全の統括組織を事業会社社長直轄とし、万一、案件が発生した場合でも、緊密な連携で迅速に動ける体制としています。
2007年5月の日本での改正消費生活用製品安全法の施行を受け、「PL*2関連情報連絡書」をデータベース化し、情報収集と連絡体制の迅速化を図りました。特に重大なPL案件については、総合危機管理員会で審議し、事務局が担当事業部門と連携し、迅速に対応します。それ以外のPL案件は、定期開催のESG委員会にて審議し、横展開を含め、継続的な改善につなげています。また、お客さまへのガイダンスが必要な場合は、サイト上で「お客さまへの重要なご連絡」で注意を喚起しています。今後も製品の安全管理の徹底を図るとともに、的確な情報開示に努めていきます。
なお、2007年5月に改正された消費生活用製品安全法に該当する重大事故は、当社グループではこれまで発生していません。
製品安全方針
富士フイルムは、お客さまの「生活の質のさらなる向上」を目指し、安全・安心で魅力ある「最高品質の商品・サービス」の創造により、お客さまの高い満足と信頼を獲得するため、すべての製品について開発・製造・販売・使用・サービスおよび廃棄の全ライフサイクルを通じた安全性の追求と製品安全の確保に努めます。
重点実施事項は、次の5項目です。
- 法令の遵守
- 製品安全に関する施策の推進
- 製品事故などの緊急時の対応体制整備
- 製品安全情報のお客さまへの周知
- 製品安全に関する従業員への教育
富士フイルムは、化粧品(医薬部外品含む)の製品開発に際し、外部委託を含めて動物を用いた試験は行っておらず、今後も行う予定はありません。*3
また、2017年4月1日以降に動物実験が行われた原料は調達しない方針です。
近年のデジタル化時代において、最先端の進化を取り込みつつ、新たに必要となる技術革新(イノベーション)を創出するには、スピードやインパクトの点において自社内の技術開発だけでは実現が難しい場合も多く、幅広く社外と協業していく必要があります。そのため当社は、社会に変革を起こし、社会課題解決に貢献する大きなイノベーションの実現には、社外の組織との対等な共創関係の下で取り組む「オープン・イノベーション」が重要と考え、積極的に取り組みを進めています。
当社は重点領域であるヘルスケア事業や高機能材料事業分野を中心に、今後も産官学と積極的に協働することで、画期的な新製品・サービスや新規事業など新たな価値創出に向け、活動を進めていきます。
当社は社外の組織との対等な共創関係の下で取り組む「オープン・イノベーション」のための拠点として、2014年、東京(六本木)に「Open Innovation Hub」を創設しました。その後、ドイツを加えた2拠点の体制を確立し、延べ5,300社以上、約27,000人のお客さまに対応、そのうち約15%のお客さまと共に、新たな)製品・技術の実現に向け、具体的な議論・取り組みを進めています(2024年3月末現在)。
2020年以降、オンライン会議システムや、双方向のコミュニケーションが可能なバーチャルツアーの仕組みを導入し、感染状況に応じてリアルとオンラインを使い分けることで、お客さまとのオープン・イノベーション活動を継続しています。
当社は、社外組織との協働研究・開発に多数参画していますが、特に近年は、医療画像診断支援、医療現場のワークフロー支援、医療機器の保守サービスなど、医療現場のさまざまなニーズやワークフローに適したソリューションを提供するための活動を行っています。自社での技術開発に加えて、優れた技術をもつ国内外のAI技術ベンダーとパートナーシップを組み、画像診断における医師の診断支援やワークフローの効率化を目指したソリューション開発を進めています。これらの領域で活用できるAI技術を、“REiL(I レイリ)”というブランド名称で展開、大学や研究機関等と連携した技術開発も多数行っています。
また環境関連のテーマについても、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の各種産官学連携プロジェクトに積極的に参画しており、そうした活動が認められ、経済産業省より「ゼロエミ・チャレンジ企業」*4に選定されています。