CSR計画 SVP2030

環境

自らの環境負荷を削減するとともに環境課題の解決に貢献する

社会的背景・課題 Sustainable Value Plan 2030で目指すもの
  1. 気候変動への対応

  2. 資源循環の促進

  3. 生物多様性の保全

  4. 製品・化学物質の安全確保

富士フイルムグループでは「持続的な発展」を達成するため、グリーン・ポリシーに基づき、世界のすべてのグループ会社が環境課題に取り組んでいます。自社の生産活動により生じる環境負荷低減はもとより、お客さまでの使用や廃棄に至るまでの製品ライフサイクル全体を対象とし、CO2排出削減や資源の有効利用を進めています。また、社会全体での環境負荷低減に貢献するために、省エネルギー・省資源効果の高い製品・サービスを提供するとともに、エネルギー・水問題などの環境課題を解決すべく新たな技術開発に取り組んでいます。

富士フイルムグループがSVP2030で環境目標を設定した2017年と比べ、パリ協定の目標「産業革命以降の人為的な気温上昇を2℃未満とする」レベルでも、気候変動が社会に及ぼす影響は甚大となるとの認識が広まり、企業には一層の取り組みが求められています。また、近年注目されている海洋プラスチック問題は、循環型社会への移行に向けた大きな課題の一つであり、事業活動や社会に提供する製品・サービスにおいて、さまざまな資源の循環の重要性が高まっています。化学物質安全に関しては、化学物質の製造と使用に伴う健康と環境への著しい悪影響を最小化する取り組みをさらに進めるために、2020年以降の国際目標の議論が進んでいます。
このような背景を踏まえ、富士フイルムグループでは、環境課題解決へのさらなる貢献のため、2021年度に目標の上方修正と新たな目標の設定を行いました。

活動の詳細については、CSR活動報告「環境」をご覧ください。

重点課題 1.気候変動への対応

2030年目標

自社のCO2排出削減
(1)2030年度までに自社の製品ライフサイクル全体*1でのCO2排出を50%削減(2019年度比)
(2)2030年度までに自社が使用するエネルギー*2起因のCO2排出を50%削減(2019年度比)
   2040年度までに自社が使用するエネルギー起因のCO2排出をゼロとする
   2030年度までに購入電力の50%を再生可能エネルギーに転換

製品・サービスを通じたCO2排出削減貢献
(3)2030年度までに社会でのCO2排出削減累積量90百万トンに貢献
(4)環境配慮認定製品「Green Value Products」で2030年度までに全社売上高比60%をカバー

  • *1 原材料の「調達」、製品の「製造」「輸送」「使用」「廃棄」
  • *2 製品の製造段階における自社からの直接排出(Scope 1)と他社から供給された電気・蒸気の使用に伴う間接排出(Scope 2)
目標の達成と脱炭素社会の実現に向けた施策

「環境負荷の少ない生産活動 (Green Value Manufacturing)」と「優れた環境性能を持つ製品・サービス(Green Value Products)の創出・普及」の二軸で構成された富士フイルムグループ環境戦略「Green Value Climate Strategy」の下、目標達成に取り組みます。

施策:

  1. 環境負荷の少ない生産活動(Green Value Manufacturing)の推進
  2. 優れた環境性能を持つ製品・サービス(Green Value Products)の創出・普及
  3. 環境戦略に沿った事業別目標の設定
  4. インターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)の導入
自社のCO2排出削減量の目標
(1)2030年度までに自社が使用するエネルギー起因のCO2排出を2019年度比50%削減。2040年度までに自社が使用するエネルギー起因のCO2排出をゼロとする (2)2030年度までに自社の製品ライフサイクル全体におけるCO2排出を2019年度比50%削減
  • *3 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工場プロセス), Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
2.資源循環の促進

2030年目標

廃棄物削減
(1)2030年度までに当社グループによる廃棄物発生量を30%削減(2013年度比)

リサイクルの質向上
(2)2030年度までに当社グループ全体のリサイクル指数*410以上
(3)2030年度までに当社グループ全体の有価物化指数*51以上

富士フイルムグループは、「写ルンです」のリユース・リサイクル循環システム、複合機の循環システム確立、銀等資源の回収再利用など、資源循環に積極的に取り組んでいます。3R(リデュース、リユース、リサイクル)を考慮した製品設計、製造段階でのロス削減、使用済み製品の回収・リユース・リサイクル、廃棄物の有価物化・リサイクル活用など、ライフサイクルでの総合的な取り組みにより、資源の有効利用、廃棄物削減を進めてきました。

富士フイルムグループの新たな資源循環方針

世界的な循環経済への移行の潮流をとらえ、生産活動で生じる廃棄物の削減のみならず、新たに使用する資源量を抑制することで、地球上の貴重な天然資源の枯渇の防止に貢献すること、循環設計の促進による資源消費に移行することを目的に、2024年度、新たに富士フイルムグループの資源循環方針を策定しました。

富士フイルムグループ 資源循環方針

新たな採掘資源*6投入量ゼロを目指す

本方針のもと、現在の目標「生産活動で生じる廃棄物削減」に加え、製品ライフサイクル全体(原材料調達・製造・使用・廃棄)に)を管理対象とすることで、新たな採掘資源の使用最少化と循環の促進を図ります。
今後は現在の資源循環の指標である「廃棄物発生量の削減率」「リサイクルへの移行率」「有価物への移行率」を見直し、特に資源循環が重要課題となる事業分野において、新たな採掘資源投入量の抑制を促進する指標を設定していきます。
なお、すでに循環型システム「クローズド・ループ・システム」構築によりリサイクルの取り組みを推進している富士フイルムビジネスイノベーション(オフィスソリューション分野)では、2024年度に新たな資源循環目標として「新規資源投入率60%以下」を設定し、今後部品リユースや再生材活用のさらなる拡大・強化を進めます。

富士フイルムグループの資源循環に対する考え方
目指す姿を従来の「廃棄物の削減」から「新たな採掘資源投入量ゼロを目指す」へ変更することに伴い、KPIや取り組み、課題も変更
  • *4 リサイクル指数 =( 再資源化量 + 有価物化量) ÷ 単純処分量
  • *5 有価物化指数 = 有価物化量 ÷ 再資源化量
  • *6 原油や鉱物資源などの再生不可能な採掘資源 
  • *7 新規資源の使用に対する原単位を示す指標(例:売上金額/新たな採掘資源投入量)
3.生物多様性の保全

2030年目標

自社水投入量削減
2030年度までに当社グループによる水投入量を30%削減(2013年度比)

富士フイルムグループは創業以来、すべての事業活動が自然環境から恩恵を受け、また自然環境に影響を与えていることを認識し、環境や生物多様性の保全を重視しています。事業活動を通じサステナブル社会の実現に貢献していく上で、ネイチャーポジティブ(自然生態系の損失を食い止め、回復させること)を重要な社会課題の一つとしてとらえており、この考えの根拠となる方針を制定し、それに基づきさまざまな活動を推進しています。

なお、2024年度の取り組みとして、以下を実施しています。

  • 水資源の保全:
    水資源保全の取り組みを水ストレス地域に重点化するため、目標の見直し(2024年度中に新目標制定予定)
  • TNFD*8提言に準拠した情報開示:
    TNFDレポート公開
  • 自然保護活動への継続コミット:
    自社拠点・所有林の生物多様性調査
  • *8 TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース):Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresの略
4.製品・化学物質の安全確保

2030年目標

化学物質リスクの先行管理
(1)2030年度までに「リスク管理優先物質」の代替化または使用量削減
(2)2025年度までに当社が新規開発する化学物質の安全性評価を動物実験代替法で実施。2030年度までに当社化学品の安全性データシートに記載する安全性データを動物実験代替法で取得

コア技術を基盤とした新規素材・特長あるプロセスの開発
(3)新規開発素材・プロセスの開発を通じた社会課題解決への貢献

サプライチェーンでの適正な化学物質管理への貢献
(4)国際規格に準拠した製品含有化学物質情報の伝達
(5)アーティクル情報シートの提供継続
(6)化学物質の安全な取り扱いに関わる知見の普及

富士フイルムグループは、化学品、高機能材料、機器など幅広い製品を製造しているため、「化学物質の取り扱い管理」および「製品に含まれる化学物質の管理」の2つの側面から、製品の成り立ちに応じた管理規定を策定し、グループ全体で運用管理を行っています。世界各国・地域の法規制動向も的確に把握し、早期に対応準備を開始する体制も構築し、確実かつ効率的な化学物質管理を推進しています。

4つの重点課題の関連性
4つの重点課題は相互に関連しあっており、どの取り組みが不足しても事業活動への影響がある