富士フイルムは、写真フィルムの国産化を目指して創業しました。写真フィルムはお客さまが試してみて、購入するかどうかをお決めいただく商品ではなく、美しい画像ができることを信頼して買っていただく商品です。お客さまに信頼していただける均一で高品質な商品を供給し続けることを創業以来の企業活動の原点として、また社会貢献に繋がることとして進めてきました。デジタルカメラ、医療・印刷の画像システム、記録メディア、産業用材料、複写機などのドキュメントシステムなど、多様な分野において、デジタル化に伴う市場環境の変化に対応して、当社は厳格な品質マネジメントシステムを構築、運用して、すべての分野において、この「信頼」をお届けすることを実施しています。
品質向上の仕組み
マネジメントシステム
第2次世界大戦後の事業復興にあたっては、世界でトップレベルの品質の写真フィルムを市場に提供すべく、米国の統計的品質管理の考え方をいち早く取り入れ、全社品質管理(TQC)活動に取り組みました。その努力が認められ、1956年に「デミング賞」を受賞し、経営理念、経営環境にふさわしい総合品質管理が効果的に実施されていると評価されました。
さらに1990年代に生産部門がISO9001を認証取得したのを皮切りに、2003年からは営業・スタッフ部門や関連会社を含め、品質、環境、労働安全衛生、情報セキュリティなどを統合したマネジメントシステムを段階的に導入しています。事業部単位で、開発-生産-品質保証-販売までを網羅したマネジメントシステムを展開、業務の質の向上に役立てて、経営そのものの品質もさらに高めています。
ステージゲートプロセス
新規事業・新製品開発にあたっては、商品企画からプロダクトレビューに至るプロセスの各ステージにゲートを設け、品質の到達度だけでなく環境・安全、法規制、さらにユーザーのニーズから検証を行ってきました(下図参照)。このように、写真フィルムと同様に高い品質を、高機能材料分野*1 、光学デバイス/システム分野*2 および情報システム/ソリューション分野*3 の新規事業・新製品でも展開しています。
富士フイルムステージゲートプロセスは、新規事業・新製品開発のプロセスを標準的に6つのステージに分割して、開発を推進していく手法です。各ステージにおいて、不確実な要因についての仮説検証を行いながら、不確実性を減らし、各ステージの終わり〈ゲート会議〉で、あらかじめ決められた項目についての目標達成度をチェックして、次のステージに進むかどうかの判断を行います。各ステージで得られた新たな課題から、都度戦略を見直すことで、ユーザーニーズに合致した競争力のある新事業・新製品の開発を行っています。
品質改善活動
富士フイルムでは、生産技術シンポジウムやナレッジフェスタをはじめ研究所や工場の各部門でも、品質と商品安全を対象にした小集団活動による品質改善活動発表の機会を毎年実施し、人事や技術情報の交流に加え従業員や組織のモチベーションアップ・活性化を図っています。これらの活動は、部門・専門領域を超えた人と技術の交流を図り、新たな発想を生むきっかけとなっています。優れた活動には表彰制度が設けられており、大きな成果を挙げた活動は国内外を問わず表彰され活性化が図られています。
製品安全
富士フイルムグループでは、企業行動憲章に製品・サービスの安全性への配慮を掲げています。世界各国の法規制を順守した製品安全レベルの向上を図るとともに、各事業とマーケットに対応したリスクを考慮した安全管理の仕組みを構築しています。安全に安心してお使いいただける高品質な製品づくりを目指して、製品の安全管理の徹底と迅速な情報開示に取り組んでいます。
製品安全方針
富士フイルムは、お客さまの「生活の質のさらなる向上」を目指し、安全・安心で魅力ある「最高品質の商品・サービス」の創造により、お客さまの高い満足と信頼を獲得するため、全ての製品について開発・製造・販売・使用・サービスおよび廃棄の全ライフサイクルを通じた安全性の追求と製品安全の確保に努めます。
重点実施事項は、次の5項目です。
- 法令の遵守
- 製品安全に関する施策の推進
- 製品事故などの緊急時の対応体制整備
- 製品安全情報のお客さまへの周知
- 製品安全に関する従業員への教育
製品の安全管理(製造物責任)の徹底と的確な情報開示
富士フイルムグループでは、常日ごろから製品の安全管理の徹底を図るとともに、万一の製品事故リスクに備え、迅速な対応と情報開示の体制を整えています。
製品安全関連情報の処理フロー
富士フイルムでは、「製品安全方針」と「製品安全マニュアル」をもとに関係会社を含めて一貫した製品の安全管理を徹底しています。社長直轄の組織体制とし、全社的な動きが必要な場合でも、迅速かつ緊密な連携で力強く動ける仕組みとしています。2007年5月の改正消費生活用製品安全法の施行を受け、PL関連情報連絡書をデータベース化し、情報収集と連絡体制の迅速化を図りました。全社的な動きが必要な重大なPL案件の場合、総合危機管理委員会または分科会で審議し、担当事業部門と連携し、迅速かつ強力に対応します。それ以外のPL案件は、定期開催のPL委員会にて審議し、継続的な改善につなげます。また、お客さまへのガイダンスが必要な場合は、サイト上で「お客さまへの重要なご連絡」で注意を喚起しています。今後も製品の安全管理の徹底を図るとともに、的確な情報開示に努めていきます。
なお、2007年5月に改正された消費生活用製品安全法に該当する重大事故は今までに発生していません。
化粧品の動物実験に関する考え方
富士フイルムは、化粧品(医薬部外品含む)の商品開発に際し、外部委託を含めて動物を用いた試験は行なっておらず、今後も行なう予定はありません。*1
また、2017年4月1日以降に動物実験が行われた原料は調達しない方針です。