CSR活動報告│環境│【重点課題4】製品・化学物質の安全確保

化学物質管理のレベルアップ

(富士フイルムの活動)

富士フイルムグループは、「富士フイルムグループ グリーン・ポリシー」に基づき、化学物質管理および製品含有化学物質管理のレベルアップを行動指針の一つとして定め、製品のライフサイクルにおける自然環境への影響、製品使用時のお客さまの安全、製品製造時の従業員の安全等を評価し、継続的に化学物質のリスク低減に努めています。
化学物質の管理には、化学物質自体を安全に取り扱うこと、および製品のライフサイクルを通じて原料、部品や製品自体に含まれる化学物質の情報を正確に把握することの2つの側面があります。
そこで、リスク評価の高精度化や管理規則の順守徹底により化学物質取り扱い時の安全管理レベル向上を図るとともに、サプライチェーンでの化学物質情報共有の積極的取り組みや、化学物質規制に先駆けた自主基準導入により、製品含有化学物質管理の強化を進めています。

化学物質管理総合的リスク管理の仕組み

[図]化学物質管理総合的リスク管理の仕組み
関連する基準・規則
  • 化学物質管理基準(化学物質環境安全管理規則、アーティクル含有化学物質管理規則)

  • 事業所の環境・安全管理および運営管理基準(化学物質リスク評価および管理手順、製品含有化学物質管理ガイドライン)

  • 製品管理基準(環境配慮設計規則)

管理対象とする化学物質の範囲

化学物質および混合物
(化学物質約11,000種)
  1. 富士フイルムとその関係会社が販売・提供する製品の原材料化学物質
  2. 化学製品
  3. 富士フイルムまたは、関係会社の処方による製造で使用される溶剤、原料および中間体
  4. 製造設備や施設の運転、操作、維持に関わる化学物質
  5. 研究開発および検査用化学物質
製品(アーティクル)に含まれる化学物質

材料製品、包装材料、機器に含まれる管理すべき化学物質

化学物質に関わるリスクの先行管理

富士フイルムグループは、化学物質の危険有害性のレベル、適用される法令の要求事項の厳しさ、および管理方針に基づき特別に管理する化学物質を定め、S区分として分類し、区分ごとに自主管理内容を定めています。さらに、S区分に該当する可能性が判明した化学物質を「リスク管理優先物質」に指定し、より早い段階から代替化や使用量の削減を開始し、リスク低減を図ります。

化学物質および混合物の区分と区分の基準および管理内容
区分*1 区分の基準 管理内容  
S0

1.法令で使用が禁止

2.富士フイルム管理方針(水銀化合物、カドミウムおよびカドミウム化合物など)

使用禁止
S1

1. 法令で猶予期限後に使用が禁止

2. 富士フイルム管理方針(ホルムアルデヒド、六価クロム化合物など)

代替
S2 富士フイルム管理方針(ジクロロメタンなど) 使用量または排出量削減
S3 法令で将来使用が禁止される可能性 代替計画の立案
S4 重大ハザードが確認されている 代替物質の検討
リスク管理優先物質
区分無し

 

*1 法令や業界基準などの規制により使用が制限される可能性や富士フイルムの管理方針に応じて管理するための社内独自の区分

製品(アーティクル)に含まれる化学物質の分類と基準
化学物質分類 化学物質分類の基準
含有制限化学物質 法令、または方針により、製品(アーティクル)への含有を禁止または制限する。
含有量把握管理化学物質 製品(アーティクル)に含有されている場合に、その含有量を把握、管理する。

化学物質管理について

事業特性に伴うさまざまなリスクに対応し、企画・開発・製品化・製造・販売のすべての工程において、適切な化学物質管理を徹底しています。

情報入手・安全性試験の実施
SDS、chemSHERPA-CI、AIS、chemSHERPA-AIなどから必要な情報を入手します。不足している化学物質や製品の安全性データは、安全性評価センターで試験・評価することで入手します。

リスクアセスメント・化学物質の管理
製品の全ライフサイクルアセスメントにおけるリスクなどを判定し、化学物質を分類・管理します。

原材料・製品情報の作成
原材料・製品に関わる情報シート(SDS、chemSHERPA-CI、AIS、chemSHERPA-AIなど)を作成します。

事業特性に伴うさまざまなリスクに対応し、企画・開発・製品化・製造・販売のすべての工程において、適切な化学物質管理を徹底しています。
 

事業場の環境保全
「富士フイルムグループグリーン・ポリシー」の重点実施事項のひとつとして、積極的に「生産サイト等での環境保全」を進めています。

化学物質の安全性評価
富士フイルムでは、企画・開発・製品化・製造・販売など全ての工程において適切な化学物質管理を徹底しています。

社会の要請にこたえ、常に一歩先行した取り組みを行い、製品・商品に含有化学物質管理をグローバルで徹底させ、取引先やお客さまとの情報共有を図っていきます。

含有化学物質管理の世界的な潮流
近年、世界の環境関連の法規制は厳しさを増し、なかでも化学物質に関する規制は、1992年のリオサミットを皮切りに、21世紀に向けた化学物質管理の方向が示され、2002年のヨハネスブルグサミットでは、「2020年までに有害な化学物質の使用を最小にする」との具体的な目標が採択されました。この世界的な潮流を受け、欧州では2003年にRoHS指令*1(2006年7月施行、2011年7月改正)、2006年にはREACH規則*2(2007年6月施行)が公布されました。製品に含まれる化学物質(含有化学物質)の管理の強化(情報収集および情報開示)が厳しく要請され、企業には具体的な行動が求められるようになってきています。
富士フイルムグループは、このような社会の要請にこたえ、世界基準をクリアするため、常に一歩先行した化学物質管理の対応で、枠組み作成や運用規定の整備、システム構築など、グループ全体で高度な製品含有化学物質管理に計画的に取り組んでいます。

*1 RoHS指令(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment):欧州の電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限する法律。電気・電子機器へのカドミウム、水銀、鉛、六価クロム、臭素系難燃剤(PBB、PBDE)などの使用を制限する。
*2 REACH規則(The Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals):欧州の化学物質管理に関する法律。新規化学物質だけでなく、既存化学物質やアーティクル(機器や材料など成形品)に含有する化学物質も管理対象とする。

サプライチェーン全体に関わる情報管理
RoHS指令やREACH規制が求める含有化学物質管理に、迅速かつ的確に、無駄なく対応するためには、サプライチェーン間の情報共有が不可欠となり、そのための仕組みの構築が重要となります。
富士フイルムグループでは、原材料からアーティクル、完成品など、サプライチェーンのすべての領域に関わっていることから、対応すべき事項の幅が非常に広くなっています。この点を考慮し、産業界を横断して製品に含まれる化学物質の管理方式の共通化を目指したJAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)に設立時から参画しています。JAMP主要企業として、含有化学物質情報伝達スキームchemSHERPAの普及に賛同し、サプライチェーンの川上に位置する化学メーカー、川中に位置するアーティクルメーカー(部品・部材)、川下に位置するセットメーカーなど、お取引先と協力しながらchemSHERPAの仕組み拡大と、必要な情報収集と開示を進めています。

[図]サプライチェーンにおける製品含有化学物質情報の流れ

サプライチェーンにおける製品含有化学物質情報の流れ

「統合化学物質管理システム」の構築とグループ内の共有化
REACH規則*1、RoHS指令*2、GHSなどに代表される化学物質管理・含有化学物質管理の規制強化に対応するため、従来のシステムやデータベースの再構築とグローバルな運用ルールの改訂を進めています。2010年に、化学物質管理システムの再構築を実施し、稼動を開始しました。2011年には、JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)が進める情報伝達の仕組みに準拠した管理システムを導入し、富士フイルムと関係会社の化学物質情報の共有化、グループ全体のガバナンス強化、管理の効率化だけでなく、サプライチェーン全体での化学物質管理のレベルアップを図っています。

*1 REACH規則(The Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals):欧州の化学物質管理に関する法律。新規化学物質だけでなく、既存化学物質やアーティクル(機器や材料など成形品)に含有する化学物質も管理対象とする。
*2 RoHS指令(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment):欧州の電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限する法律。電気・電子機器へのカドミウム、水銀、鉛、六価クロム、臭素系難燃剤(PBB、PBDE)等の使用を制限する。

GHSへの対応
すべてのSDSについて、GHS*3に対応した改訂が、2010年12月までに完了しています。

*3 GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals):化学物質と混合物の分類および表示に関する世界調和システム。化学製品の危険有害性分類とラベル表示に関する世界的に統一されたルールで、化学製品の安全ラベル・安全データシートに適用する。