富士フイルムグループは、脱炭素社会の実現に向け、2021年12月に新たなCO2排出削減目標を設定しました。新たな目標では、2040年までに、エネルギー利用効率の最大化と再生可能エネルギーの導入を両輪で進めることで、自社が使用するエネルギー起因*1のCO2排出量実質ゼロを目指すとともに、原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るまでの製品ライフサイクル全体において、2030年度までにCO2排出量を50%削減(2019年度比)します。今回富士フイルムグループが策定した新たな脱炭素目標は、パリ協定で掲げられた「1.5℃目標」基準を満たすものです。
富士フイルムグループでは本目標達成に向け、富士フイルムグループ環境戦略「Green Value Climate Strategy」を新たに策定しました。電力のみならず合成メタンや水素などのCO2排出を実質伴わない燃料の導入と実装による環境負荷の少ない生産活動や、優れた環境性能を持つ製品・サービスの創出・普及を推進していきます。また、これら施策の遂行を加速させるために、インターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)制度の運用を2022年度より開始しました。富士フイルムグループはこれら戦略や施策を通じて、国際社会の喫緊の課題である気候変動への対応を強力に推進していきます。
- *1 製品の製造段階における自社からの直接排出(Scope 1)と他社から供給された電気・蒸気の使用に伴う間接排出(Scope 2)
- 環境負荷の少ない生産活動 "Green Value Manufacturing" の推進
- 優れた環境性能を持つ製品・サービス ”Green Value Products”の創出・普及
富士フイルムグループは、私たちの事業のみならず、ステークホルダーとのコミュニケーションをとおして、脱炭素社会の実現を目指しています。
写真プリント用カラーペーパーや、バイオ医薬品の研究開発・製造における細胞培養に不可欠な培地などの製造、および複合機のトナーカートリッジの回収・再生を行う、オランダ・チルバーグ市にあるFUJIFILM Manufacturing Europeでは、再生可能エネルギーの1つである風力発電由来の電力で使用電力のすべてをまかなっています。

敷地内に設置された複数の風力発電機

2022年に、中国蘇州の複合機などのリサイクル拠点である富士フイルムエコマニュファクチャリングに約8千㎡の太陽光パネルを設置し、稼働を開始しました。
胃や大腸などの疾患の早期発見・治療への貢献が期待できる内視鏡システム。その製造を行う富士フイルムヘルスケアマニュファクチャリング 佐野事業所(栃木県佐野市)では、建屋の屋上や地上に太陽光発電パネルを設置することで、製造工程での使用電力を再生可能エネルギーに段階的に切り替え、CO2の排出削減を進めています。


フロー合成法とは、直径数百ミクロン~数ミリメートル程度の極細な管に、原料である化学物質を連続的に供給して混合・反応させる化学合成法です。当社はこのフロー合成法について、独自技術*2を活用し、生産性・エネルギー効率をさらに高めた新たな合成手法を開発しました。
- *2 化学工学的知見に基づいて設計された独自構造のミキサーや熱交換機の適用