富士フイルムホールディングス

CSR活動報告│環境

【重点課題1】気候変動への対応

2025年春に稼働予定のFDB新サイト(米・ノースカロライナ州ホーリースプリングス市)

富士フイルムグループは、バイオ医薬品の開発・製造受託(CDMO*1)事業を拡大しています。その中核を担うFUJIFILM Diosynth Biotechnologies( FDB)は、米国、英国、デンマークに計4拠点を有し、高度な生産・品質管理技術と最新設備により多様な顧客ニーズに応えています。今後さらなる市場成長が見込まれることから、2021年3月、米国ノースカロライナ州拠点の第2サイトとして、バイオ医薬品の大型製造サイトを新設することを発表しました。本サイトでは、2万リットル動物細胞培養タンク8基、大型の製剤製造ライン、多様な製品に対応する包装ラインを導入し、原薬製造から製剤・包装までワンサイト・ワンストップでの受託が可能となります。

本サイトの地域選定にあたっては、自社が関わる工程に留まらず、ライフサイクルアセスメントに基づいたサプライチェーントータルでの環境負荷を考慮。最大の需要地である米国向けの供給を想定し、原薬・製剤・包装および輸送に伴うCO2排出量を複数のモデルケースで試算しました。その結果、欧州製造拠点を介したモデルではいずれも空輸に伴うCO2排出量が甚大であり、米国内で全工程を完了するモデルが最も環境負荷が少ないことがわかりました。また本サイトでは、太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用をはじめ、環境プログラムの推進が活発に行われているノースカロライナ州の利点を生かし、地元政府・企業と連携して環境負荷低減の仕組みを積極的に導入します。使用電力のすべてを再生可能エネルギー由来の電力で賄うことを目指し、今後も環境配慮を前提とした製造拡大、事業成長を加速させていきます。

  • *1 CDMO:Contract Development & Manufacturing Organizationの略。細胞株開発から生産プロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを製薬企業などに提供する

米国向け製品供給のモデルケース

すべて米国拠点で製造する場合

すべてデンマーク拠点で製造し、米国に供給する場合(再生可能エネルギーインフラの導入で先行する欧州で製造)

富士フイルムグループは、持続可能な社会の実現に向け、環境配慮に優れた製品・サービスを創出し続ける仕組みとして、富士フイルムグループ「Green Value Products」認定制度を運用しています。2020年度は、新たに30製品を認定し、認定製品は累計166製品となりました。また、2030年までの環境目標に「『Green Value Products』認定製品の割合を全社売り上げの6割にする」という新たな目標を設定し、さらなる製品・サービスによる環境負荷低減にチャレンジしていきます。

本制度内容は、客観性、信頼性、透明性を担保するために、国際標準規格ISO14021(自己宣言ラベル)に準拠するとともに、社外有識者として東京都市大学 伊坪教授にご意見をいただき、2018年にスタートしました

認定製品・サービス例

ゴールド認定:データ社会のCO2排出削減に貢献 - 磁気テープとデータアーカイブソリューション

昨今、膨大な量のデータ保管に要するエネルギーが社会課題になっています。データセンター等で使用されているHDDは、アクセスの有無にかかわらず、常時ディスクを回転させるため電力を必要とします。大容量磁気テープを用いた富士フイルムのデータアーカイブソリューション「dternity」では、HDDに保管されたデータの8割以上を占めるといわれるアクセス頻度の低いデータを、データの読み書き時にのみ電力を必要とするLTOテープ(磁気テープ)に保管。これにより、HDDに保管した場合と比べ、消費電力を約74%減と大幅に削減します。デジタルデータ量が増加し続ける中、データセンターのエネルギー削減に貢献できる点を評価し、ゴールドに認定しました。

消費電力量比較

運用条件: 毎日約110GBのデータを書き込み、24時間通電状態で、データ書き込み時とそれ以外の時間により算出
TAAデータ: HDD容量10TB+テープ容量240TB(LTO7×40巻)の当社実測値
HDDデータ: [出所]JEITAデータストレージ専門委員会「テープストレージの活用による省エネ貢献2016」

ゴールド認定: 人の移動とオフィス設備利用を削減するテレワークソリューション「beat」

2020年以降、コロナ禍によりテレワークが急速に普及し、働き方も変化しています。一方、セキュリティリスクの懸念により、導入が進まない企業も多く存在します。富士フイルムビジネスイノベーションのテレワークソリューション「beat」は、安心・簡単・便利なネットワーク管理を包括的に支援するサービスです。

強固なセキュリティシステム(安心)、24時間監視のワンストップでのネットワーク運用(簡単)、オフィス内外のネットワークを安全につなげる柔軟性(便利)で、快適で安全なネットワーク環境を実現します。

こうしたネットワーク管理の負荷軽減によりテレワーク導入を容易にし、人の移動やオフィス設備利用を減らすことで、CO2排出削減に貢献できる点を評価し、ゴールドに認定しました。

ネットワーク管理のアウトソーシングイメージ

富士フイルムグループは、液晶ディスプレイ用と有機ELディスプレイ用の偏光板(特定方向の光のみを通すフィルター)に不可欠な偏光板保護フィルム「トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(製品名:フジタック)」を開発・製造・販売しています。優れた光学特性や平滑性、高い透明性を有し、高機能フィルムの支持体としても使用されています。

本フィルムは、非可食性植物から作られるセルロースを原料としており、廃棄時のCO2排出量の約50%が植物由来(バイオマス)として控除されます。そのため、石油由来のPET*2、COP*3、アクリル等のフィルムと比較し、製品廃却時のCO2排出量が少ないことが特長で、現在環境的観点からも関心を集めています。TACフィルム製品の提供をさらに拡大していくことで、社会におけるCO2排出量の削減に貢献していきます。

  • *2 ポリエチレンテレフタレート
  • *3 シクロオレフィンポリマー

富士フイルムは2006年、TACフィルムについて(株)日本有機資源協会からバイオマス製品の認定を受けています

廃棄物処理によるCO2 排出量
  • * 各材料の一般的な構造式よりCO2排出量を算出。TACフィルムについては、バイオマス材料比率(重量比)により控除量を算出

天然ガスは石油や石炭等の他の化石燃料と比べ最もCO2排出量が少なく、脱炭素社会実現までの移行期間において、CO2排出抑制に貢献できるエネルギー資源と考えられています。

富士フイルムグループは、高度な精密塗布、化学構造設計技術を生かした膜形成技術により、この天然ガスからCO2等の不純物を分離する「CO2分離膜」を開発・提供しています。この膜形成技術を応用し、さまざまな特色を持たせた分離膜を開発することで、将来的には水素などCO2を排出しないエネルギー資源の精製・製造にも活用することが可能になると考えており、引き続きエネルギー領域における脱炭素化の実現に向け取り組んでいきます。

天然ガス精製用分離膜

富士フイルムグループ各拠点における取り組み

都市ガスへの燃料転換でCO2排出削減(富士フイルム富山化学)

富士フイルム富山化学 富山第一工場では、ボイラー燃料を重油から都市ガスに転換し、年間約1,052トンのCO2排出削減を達成しました。富士フイルムグループでは2003年以降、自家発電設備やボイラー燃料について、重油から都市ガスへの転換を積極的に進めており、現在使用している燃料の約90%は、CO2排出量の少ない天然ガス由来となっています。

富山第一工場の燃料設備

活動に取り組んだメンバー

4拠点が一体となって省エネ活動を展開(富士フイルムオプティクス)

省エネ活動推進メンバーと活動の様子

富士フイルムオプティクスでは、4つの事業場が連携し全社一体で省エネ活動を進めることで、製造現場での省エネ施策を積み上げ、CO2排出量を対前年で2,300トン削減しました。

代表的な取り組みとして、栃木県の佐野事業場第4製造部では、主要設備を機能別に分類し稼働状況を分析。無駄な消費がないか等、使用電力の見える化を行いました。

その結果をもとに、消費電力が全体の約45%を占めるクリーンルームの空調設備を中心に運用条件を見直し、生産エリア別に空調の設定温度や稼働時間を最適化することで、部門全体の消費電力を対前年で16%削減することができました。

冷却効率化による電力削減(富士フイルム)

冷却効率化に取り組んだメンバー

富士フイルム神奈川事業場では、事業場内の製造工程で使用する冷熱源を中央冷水方式で供給しています。

2020年度は、事業場全体での冷凍機のさらなる集約化を進め、インバータ制御による低温冷却水を有効活用した高効率ターボ冷凍機も導入することで電力を削減。

年間240トンのCO2排出削減を達成しました。

省エネ・CO2排出削減の取り組み(富士フイルム富士宮事業場)

省エネ・CO2排出削減の取り組み(富士ゼロックス深圳*4

省エネ・CO2排出削減の取り組み(FUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A., Inc.)

省エネ・CO2排出削減の取り組み(FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited)

省エネ・CO2排出削減の取り組み(Biogen (Denmark) Manufacturing ApS)

「完全無処理サーマルCTPプレート」によるCO2排出量削減活動(富士フイルム)

「アスタリフト」でお客さまと取り組むCO2削減活動(富士フイルム)

気候変動への対応(富士フイルムビジネスイノベーション)

  • *4 富士フイルムブランドでの新社名は登記申請中