富士フイルムホールディングス

CSR活動報告│環境

【重点課題4】製品・化学物質の安全確保

優先リスク管理物質の代替化または使用量削減

世界的な化学物質の安全性点検に伴い、法令で新たに使用が制限される化学物質が増えています。当社はこれまで、法令で指定された化学物質について、課される要求事項より厳しい管理を行ってきました。この先行管理をさらに進め、化学物質が法令の対象となる前であっても、当社がリスクを認めた場合は、優先リスク管理物質として代替化や使用量削減を進める目標を設定しました。

動物実験代替化によるすべての安全性評価の実施

富士フイルムグループでは、動物福祉の観点から化学物質の安全性評価において動物実験の代替化に取り組んでいます。富士フイルムが開発した皮膚感作性試験代替法「ADRA」は、OECD(経済協力開発機構)テストガイドラインに収載され、同法用の試験試薬を富士フイルム和光純薬が提供し、その普及を図っています。当社は動物実験代替化をリードしてきた企業として、社内での安全性評価における動物実験代替法の実施比率につき目標を設定しました。

機能性分子や機能性ポリマーの分子設計力とそのエンジニアリング技術は、当社のコア技術です。当社はこれらの新規素材の開発によって、新たな価値を社会へ提供しています。また、資源の利用効率や品質を高める製造プロセスの革新にも注力しており、これらの活動を通じた社会課題解決への貢献を新目標に設定しました。

製品中の化学物質の情報や化学物質の安全な取り扱い方法がサプライチェーンで共有されることは、適正な化学物質管理の要件です。富士フイルムグループは、サプライチェーンの上流、中流、下流のそれぞれに位置する事業を有することから、化学物質管理に関わる当社の様々な知見の普及を通じて、製品・化学物質の安全確保に貢献すべく新目標を設定しました。

富士フイルム和光純薬は試薬メーカーとして、2000年度から企業、大学、病院、公的研究機関等のお客様向けに「試薬の安全管理教育」研修を開催、これまでに400回以上実施しています。お客様からは、紹介事例が多く、実務に直結した分かりやすい内容であると高い評価をいただいており、一部のお客様には、ご要望により毎年定例で研修を実施しています。今後、より多くのお客様の要望に応えられるように、講師の人数を増強し、富士フイルムグループ内でも同様の教育を定期的に実施することで、社会での化学物質によるリスクの最小化に貢献していきます。

VOC削減の取り組み~水溶性重合材料の開発~

インク、接着剤、コーティング剤等に硬化する性質を与える多くの重合材料は水に溶けにくく、溶かすために揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、以下VOC)が使用されていますが、近年、各国・地域でVOCの規制が強化されています。特に中国では、大気への放出量の制限のみならず、2020年3月に公布された国家標準*1より、製品中のVOC含有量が制限されています。

富士フイルムグループでは、製品へのVOCの使用量を削減できる新しい水溶性重合材料*2を開発しました。これらは高い水溶性、安全性、硬化性、及び安定性を併せもつ、独自に設計された化学物質です。例えばFOM-03006は、エタノールに対して50wt%を超える高い溶解性を示し、かつ一般的な重合材料に比べ安全性の高い化合物です(表)。この環境負荷の低い水溶性重合材料が、様々な用途へ用いられることにより、VOC削減への貢献が期待できます。

水溶性重合材料 FOM-03006の構造式と分子設計の考え方
[図]水溶性重合材料 FOM-03006の構造式と分子設計の考え方
水溶性重合材料FOM-03006の安全性評価
 試験項目 結果
皮膚刺激性・腐食性 PⅡ=0
無刺激
皮膚感作性 陰性
変異原性(Ames)  陰性

環境負荷低減につながる生産方式の開発~フロー合成プロセスへの取り組み~

富士フイルムグループでは、2012年に「フロー合成法」を用いた化成品の生産を開始し、製造実績・ノウハウを蓄積するとともに、少量生産から大量生産まで適用可能な技術の開発を進めてきました。さらに2018年には、グル-プ内の生産設備を生かして「フロー合成法」を用いた化成品の製造受託サービスを開始しています。

「フロー合成法」は、直径数百ミクロン~数ミリメートルの極細な管に、原料の化学物質を連続的に供給して混合・反応させる化学合成法です。「フロー合成法」は、大きな反応釜で大量の原料を一度に混合・反応させる「バッチ合成法」と比べて、様々な製造規模への対応が可能です。さらに、反応条件を精緻に制御できるため、高圧・高温条件や有毒物質・爆発性物質を扱う上で、リスクを低減できるメリットもあります。

また従来の「バッチ合成法」では、反応釜の一部での急激な反応を防ぐため、反応釜全体を極低温に冷却する大掛かりな設備が必要となる場合があります。一方、「フロー合成法」では、精緻に反応制御が可能なため、一般的な冷却設備が利用でき、大幅なエネルギー削減につながります。下記の「フロー合成法」の例では、「バッチ合成法」より穏やかな条件で高い収率を実現しています。

富士フイルムグループでは、今後も環境負荷低減に貢献可能な「フロー合成法」を用いた高品質・高純度な化成品を開発・提供していきます。

フロー合成法の例

[図]フロー合成法の例
  T1(°C) 収率(%)
batch -100 89
flow 0 95

お取引先との化学物質管理の取り組み

化学物質情報伝達の仕組み「chemSHERPA(ケムシェルパ)」を中国で運用開始

[写真]蘇州富士膠片映像機器有限公司でのお取引先向け説明会の様子

蘇州富士膠片映像機器有限公司でのお取引先向け説明会の様子

富士フイルムは、製品の原材料や部品、部材に含まれる化学物質の基準を「富士フイルムグリーン調達基準」として定め、お取引先と協力して製品に含まれる化学物質の適正な管理を進めているほか、製品の化学物質情報を企業間で授受する新たな仕組み「chemSHERPA」を導入しています。毎年お取引先への説明会を開催しており、2018年度は20回実施しました。さらに2018年6月には中国でも開催、蘇州富士膠片映像機器有限公司にて現地の部品・部材メーカーに対する説明会を行い、必要な化学物質情報の提供を要請するとともに、chemSHERPAの仕組みと効率的に情報授受するITツールの操作方法などを紹介しました。

化学物質管理のレベルアップ(富士フイルム)

安全性評価センターについて(富士フイルム)

商品・化学物資の安全確保 (富士フイルムビジネスイノベーション)