富士フイルムグループは、さまざまな属性や価値観の違いにとらわれず、従業員が互いの人格と個性を尊重し、受け入れ刺激しあうことで、新たな価値を生み出し、豊かな社会づくりに貢献できると考え、多様な人材が活躍しやすい、強い組織であることを目指しています。出産・育児や介護などライフステージの変化に応じて柔軟に働ける制度の維持・拡充や、障害をもつ従業員の定着化策、女性従業員を対象としたワークショップ型の研修など、さまざまな取り組みの結果、障がい者雇用率、女性管理職比率はともに向上しています。またワールドワイドな人材の育成や最適配置を目的とした取り組みも継続して実施しています。
富士フイルムグループでは、「グローバルで勝ち抜ける強い個の育成」を実現していくため、(1)語学力を含めたグローバルビジネス力の強化、(2)海外経験の強化や計画的育成ローテーション、(3)海外現法の優秀ローカル社員の育成とさらなる活用・登用など、の施策を実施しています。海外現地法人の基幹ポスト(Global Executive Position)を特定し、各地域での育成プログラム(Regional Leadership Program)を通じて後継者育成にも取り組んでいます。さらに海外ローカル人材や留学生の日本への受け入れ、外国籍社員の採用拡大などを実施し、グローバル経営を推進するための人事政策を強化しています。また、将来の経営を担う基幹人材を育成するために、層別の幹部候補選抜研修を実施しています。
多様な価値観を持った社員が活躍しつづけられるよう、セミナーなどを通じて啓発を図るとともに、育児、介護などのライフステージの変化に対応できるよう、在宅勤務や有給休暇の取得が可能な制度の導入を進めています。特に女性活躍に向けた取り組みについては、中核となる人材をOJT・OFF-JTを通じて育成するとともに、多面的な支援策を実施しています。富士フイルムでは、2014年より取り組んでいるWork Style Innovation活動にて、「多様な社員の能力発揮」の観点から、女性の管理職比率拡大のために「再入社制度」「在宅勤務制度」「時間単位有休制度」など多くの支援策を導入しているほか、「女性向けキャリアデザイン研修」「育児復職支援プログラム」「仕事と育児の両立支援セミナー」の開催など、女性の活躍を支援する仕組みを充実させています。富士フイルムビジネスイノベーションでも同様の制度を整備しているほか、「女性活躍推進法に基づく行動計画」のもと、さまざまな施策を進めています。2022年11月には人事部に「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進グループ*1」を立ち上げ、「多様な+STORYを認め合い、支援し合う」というコンセプトのもと、女性社員の活躍推進、仕事と育児・介護の両立支援・男性の育児参画などの施策によって効率的な働き方で成果を出す風土に変革する取り組みを進めています。
またダイバーシティの一環として、障がい者雇用については中長期的な目標を掲げて推進しています。富士フイルムホールディングスグループ算定特例のもと、グループ内の連携を強化してきた結果、2022年度の富士フイルムグループ全体の雇用率は2.45%となりました。今後も障害の有無に関わらず、すべての人が働きやすい職場の実現を目指していきます。
富士フイルムグループの基幹ポスト*2における外国人*3の比率
2030年度目標 35% 2023年度実績 28.6%
富士フイルムグループでは、それぞれの市場において当社の事業をリードするにふさわしい人材を登用していくために、当社の基幹ポストを海外基幹ポジション(Global Executive Position)と地域基幹ポジション(Regional Executive Position)に分けて明確にしています。それぞれのポジションに対しては、国籍によらず候補となる人材を特定し、計画的な育成を進めています。
海外基幹ポジションのメンバーを対象に実施する基幹人材研修(Global Leadership Seminar)では、受講者が世界中から富士フイルムグループの本社に集まり、基幹人材としての視座を高めるとともに、グローバルでの課題形成力を強化します。
2024年3月31日現在
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2030年度目標 | |
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富士フイルムグループ | 27.7% | 27.8% | 28.6% | 35% |
富士フイルムグループの役職者に占める女性の比率
2030年度目標 25% 2023年度実績 17.1%
国内富士フイルムグループの役職者に占める女性の比率
2030年度目標 15% 2023年度実績 6.8%
富士フイルムグループの全社において、優秀な女性の役職への登用を促進するとともに、将来の役職者候補になり得る女性人材の採用を強化しています。
国内においては、女性活躍推進法に基づき、富士フイルム(株)、富士フイルムビジネスイノベーション(株)がそれぞれ2021年4月~2026年3月を対象とする女性活躍促進の5か年行動計画を策定し、公表しています。
日本の製造業では10%台前半が平均ですが、当社ではこれまでの実績推移をふまえ、着実に達成していくことを意識した目標設定をしています。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2030年度目標 | |
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富士フイルムグループ*4 | 16.1% | 16.5% | 17.1% | 25% |
国内富士フイルムグループ | 6.4% | 6.9% | 6.8% | 15% |
富士フイルムグループでは、優秀な女性社員の役職への登用を促進するとともに、女性のキャリア形成や産休・育休などのライフステージに応じたさまざまな支援を実施しています。
仕事と育児の両立支援では、産休・育休から復職した従業員とその上長を対象にセミナーを開催。外部講師を招き、仕事と育児の両立におけるポイントや周囲の支援の重要性に関するガイダンス、従業員と上司によるパネルディスカッションなどを実施。産休・育休からの円滑な復帰とキャリア支援に取り組んでいます。また、育児と仕事の両立における悩みを相談し合えるネットワーク形成の場として、子育て中の従業員同士が交流できる場を3か月に1回設けています。
グループ算定特例による障がい者雇用率(日本国内)
2030年度目標 2.7%(常に法定基準を上回る)、2023年度実績 2.52%
国内富士フイルムグループでは、2016年度から継続して法定以上の障がい者雇用率を達成しており、今後も法定以上の雇用率の維持を目標としています。
外部専門機関(障がい者職業センター)も交えて障がい者に適性のある業務の創出や支援機関と連携した定着支援を実施するとともに、知的/精神障がい者が活躍できる職場の新規立ち上げを継続しました。
2024年5月1日現在
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2030年度目標 | |
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国内富士フイルムグループ | 2.42% | 2.48% | 2.47% | 2.45% | 2.52% | 2.7% (常に法定基準を上回る) |
育児休職からの復帰3年後の定着率
2030年度目標 100%(国内富士フイルムグループ)、2023年度実績 83.7%(富士フイルム(株))
介護休職からの復帰3年後の定着率
2030年度目標 100%(国内富士フイルムグループ)、2023年度実績 100%(富士フイルム(株))
本目標の達成に向けて、2020年度から、育児休職および介護休職の取得状況把握の範囲を国内富士フイルムグループ全体に広げています。
育児に関しては、男性が積極的に育児休暇を取得し、育児と仕事の両立ができるようにするため、ストック休暇(積み立て有給休暇)の利用促進も含めて各種制度についての普及および啓発を行っています。介護に関しては、介護離職の防止に向けた専門家によるセミナーの開催に加えて、介護相談窓口の充実を図っています。
2022年度は人事部に「DE&I推進グループ」(現「DE&I推進室」)を立ち上げ、2023年度は、多様な従業員が仕事とライフステージを両立させ、より意欲高く主体的に働けるように、在宅勤務制度および両立支援制度を拡充しました。特にWork Style Innovation with DXと名付けた活動ではライフイベントの最中にある従業員に限らず、当社グループの全従業員がワークスタイル・イノベーションを加速させ、業務の中でDX(統合コミュニケーションツールM365やペーパーレス化など)を推進しながら、総労働時間を削減し、短時間でクリエイティブに、多様な従業員がいきいきと働き、成果を創出することを目指しています。
このように時代の変化に合わせた施策を継続的に取り入れ、より良い働く環境づくりに取り組んでいます。
全体 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
育児休職後の復職率*6 | 98.5%(67名/68名) | 100%(42名/42名) | 96.2%(25名/26名) |
介護休職後の復職率*6 | 66.7%(2名/3名) | 50%(1名/2名) | 100%(1名/1名) |
育児休職復職後3年後定着率*7 | 83.7%(41名/49名) | 100%(16名/16名) | 75.8%(25名/33名) |
介護休職復職後3年後定着率*8 | 100%(1名/1名) | 対象者なし | 100%(1名/1名) |
全体 | 男性 | 女性 | |
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育児休職後の復職率*6 | 98.3%(115名/117名) | 100%(87名/87名) | 93.3%(28名/30名) |
介護休職後の復職率*6 | 100%(3名/3名) | 100%(2名/2名) | 100%(1名/1名) |
育児休職復職後3年後定着率*7 | 97.1%(68名/70名) | 97.8%(45名/46名) | 95.8%(23名/24名) |
介護休職復職後3年後定着率*8 | 50%(1名/2名) | 50%(1名/2名) | 対象者なし |
富士フイルムグループでは、オフィスの設備改善による働く環境の向上に取り組んでいます。富士フイルムホールディングス、富士フイルム、富士フイルムビジネスイノベーションの本社・東京ミッドタウンでは、2018年に食堂の一部とカフェテリアをリニューアルオープンし、「伝える・実行する・読む・構想する」を促進する場として、3つのエリアに分かれたワークスペースを設置しました。そのほかにも、迅速なコミュニケーションを実現する仕掛け(ハイデスク・ハイチェア)や一部部署でのフリーアドレスの導入、周りを気にせず電話できるボックスやブースなど、新しい働き方に向けたトライアルを実施しています。また2019年以降、各フロアの中央スペースを順次改装、フロアごとに特長を持たせ、従業員が用途に応じて自由に使えるスペースを拡充しています。一人ひとりが目的に合った場所を主体的に選べる環境を提供することで、より効率的・創造的な働き方につながると考えており、現状の結果を踏まえて、ほかのオフィスへも展開していく予定です。