CSR活動報告

ネパールでの取り組み

-世界での結核終息に向けた取り組み-

ネパールでは、人口10万人当たりの罹患者数が200人を超えており、結核終息に向けた取り組みが社会課題の一つとなっています。富士フイルムグループは、結核対策の推進団体への支援を通じて検診機会の拡大に貢献しています。

ネパールの基礎データ
  • 人口 : 3,054万7,580人
  • 面積 : 14.7万km2
  • 首都 : カトマンズ
  • * 外務省「ネパール基礎データ」から引用。(2023年11月時点)
結核に関するデータ

ネパールは、人口に占める罹患者数の割合が世界的にも高水準で推移しています。

  • 年間罹患者数 : 約6万9,000人
  • 人口10万人当たりの罹患者数 : 229人
  • * 世界保健機関(WHO)「Tuberculosis profile: Nepal」から引用。(2023年11月時点)

同国の調査では罹患者の約半数が未発見との推計もあり、早期検診に基づく重症化リスクの低減や蔓延防止が喫緊の課題となっています。

富士フイルムグループの取り組み

ネパール政府は、胸部X線撮影を用い、結核罹患の可能性がある人々に対して、重症化する前に先手で検診を行う積極的症例探索(ACF)に注力する方針を掲げています。

こうした動きを踏まえ、公益財団法人結核予防会(JATA)は、現地NGOのJapan-Nepal Health and Tuberculosis Research Association(JANTRA)と連携し、外務省の支援により、首都カトマンズの8つの地域を対象にAFCプロジェクトを推進しています。富士フイルムグループは、このプロジェクトに対して、小型かつ軽量で持ち運びがしやすい携帯型X線撮影装置と、AI技術を用いて開発された診断支援ソフトウェアを提供しています。

対象地域は、いずれも低所得者の居住区、工場、寺院、高齢者施設などが多く、特に罹患のリスクが高いとされていています。プロジェクトでは、UHC(都市部保健クリニック)のスタッフや地域の保健ボランティアの協力を得ながら、1時間当たり25~50人、1日当たり150~200人の住民に対して胸部X線撮影を実施。罹患が疑われる被検者については喀痰を採取し、WHOが推奨するTB-LAMPとGeneXpertによる細菌検査を行っています。

2022年7月から2023年8月にかけて15,028人に対して検診を行った結果、全体の1%に相当する151人が結核と診断*1されました。その結果を踏まえてすべての患者に対して、適切な治療につなげるため最寄りのUHCを紹介しました。

  • *1 細菌学的には陽性47人、陰性104人。罹患者の半数以上は自覚症状なし。

検診を待つ人々

街角にいる人々に検診受診を勧める保健ボランティア

カトマンズにある典型的なストゥーパという仏教建造物があるスペースは人が集まりやすく、検診場所に適している

寺院の検診会場

X線撮影の様子

撮影画像に対する読影作業

喀痰検査に用いられる機器類

各国での取り組み