結核の高蔓延国に位置づけられ、早期発見・早期治療に向けた対策が急がれるザンビア共和国(以下、ザンビア)。富士フイルムグループは、NPOと連携し、都市部から離れた地域の検診体制を整備することで、検診機会の格差解消に貢献しています。
- 人口 : 2,001万人
- 面積 : 75.261万km2
- 首都 : ルサカ
ザンビアの人口10万人当たりの罹患者数は300人近くにも上り、深刻な状況です。
- 年間罹患者数 : 約5万9,000人
- 人口10万人当たりの罹患者数 : 295人
医療体制の整っていない地域の人々は、受診のために都市部の病院まで行かなければならず、移動時間や費用の関係でなかなか検診を受けられずに重篤化するケースが相次いでいます。
2023年5月、認定NPO法人ロシナンテスの協力の下、携帯型X線撮影装置1台を中央州にあるリテタ郡病院に試験導入。本装置を必要に応じて州内の4つの医療施設に貸し出し、結核の巡回検診を行いました。
2023年8月~2024年1月の半年間で、結核の疑いがある人々に対し1,140件のX線検査を実施し、陽性と診断された121人全員が医療機関で治療を受けました。また、この取り組みにより、これまで必要だった都市部の病院までの移動費など、金銭的負担は合計で約270万円削減されています。
さらにロシナンテスは、2024年4月から携帯型X線撮影装置4台を正式導入。州内で巡回検診を行うための仕組みづくりを本格的に始めています。
創設者・理事長
川原 尚行さん
ロシナンテスは17年以上にわたり、アフリカで医療アクセスの改善に取り組んでいます。今回は富士フイルムの協力の下、結核患者の早期発見を目指し、ザンビアで携帯型X線撮影装置の試験導入を行いました。検査体制の整っていない複数の医療施設でX線撮影装置を共有し、地方住民が適切なタイミングで検査を受けられるようにしています。導入から1年で、これまで見落とされていた結核患者が発見され、早期治療につながっていることが確認されました。患者の移動を減らすことで、感染拡大の抑止効果も期待されます。
今後も「2030年までに結核を終息させる」というザンビア政府の目標達成に貢献するべく、ロシナンテスは富士フイルムとのパートナーシップをさらに強化し、この事業のモデル形成に努めていきます。また、現在は1つの州でX線撮影装置を導入していますが、ここをモデルとして、ザンビア国内に新たな結核の診断・治療体制を確立することを目指します。