富士フイルムホールディングス

CSR計画

マテリアリティの策定プロセス

重点課題(マテリアリティ)については、下記の図のようなステップを踏まえて、自社と社会の両面で影響の大きい社会課題を抽出し、SVP2030の重点課題として特定しています。【STEP3】の重要性評価では、「事業を通じた社会課題の解決」(環境・社会への貢献)と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」(環境・社会への負荷最小化)の両面から課題を導き出しました。また社会の関心・要望については、社会の声の代表としてCSR有識者の(株)イースクエアに評価いただいた上で、優先する課題の項目を洗い出しています。さらに、グローバルでの喫緊の課題である「環境」分野については、SDGsコンパスを参考に、環境・社会負荷(リスク)と機会(オポチュニティ)をマッピングし、課題を整理しています。

2019年度は当初、中期経営計画VISION2019の最終年度であったため(次期中期経営計画は新型コロナウイルス感染症の影響により、当面発表延期)、VISION2019の振り返りや直近の世界的な潮流も踏まえて、2017年に策定した際の以下の3つの視点でSVP2030を再点検しました。その結果、「社会課題解決に向け、グローバル企業として貢献できることを長期視点でとらえ、目指す姿を明示する」という基本方針を継続することとしました。

  • 長期目標(2030年)の設定
  • 地球規模の環境課題は数値目標を明示して取り組む
  • 「事業を通じた社会課題の解決」(環境・社会への貢献)と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」(環境・社会への負荷最小化)の両面を考慮した重点分野に取り組む

今後も中期経営計画を立案する3年ごとに見直しを図り、PDCAサイクルを回しながら、SVP2030の達成、さらにはサステナブル社会の実現に貢献する企業を目指して、全社一丸となって活動していきます。

[図]Sustainable Value Plan 2030

中・長期CSR計画・目標の推移

富士フイルムホールディングスにおける中期CSR計画は、持ち株会社制になった翌年の2007年、ガバナンスやコンプライアンスを徹底することから始まり、2017年には2030年を目指した長期目標「Sustainable Value Plan 2030(SVP2030)」の発表に至りました。

SVP2016におけるCSR活動を振り返るとともに、気候変動への対応等、世界的な潮流を踏まえ、SVP2030で重点的に取り組むべき課題を導き出しました。結果として、SVP2016で取り組んだ「社会課題の解決を事業成長の機会ととらえ全社で取り組む」という視点をさらに進化させ、「社会課題解決に向け、グローバル企業として貢献できることを長期視点でとらえ、目指す姿を明示する」ことを、基本的な方針としました。

社会課題抽出にあたっては、グローバルスタンダードのISO26000やGRIガイドライン/スタンダードから約130項目、パリ協定の目標やSDGsの169ターゲットなど、長期視点で取り組むべき観点を加え、網羅的に約300項目をリストアップしました。また、すべての事業部が保有、開発している製品、技術、サービスが社会課題解決に貢献する可能性を検討し、関連する社会課題もリストアップしました。

重要性の評価においては、「事業活動により生じる負荷の軽減/配慮」と、「事業を通じた社会課題の解決」の両面からアプローチしました。

(1)事業活動により生じる負荷の軽減/配慮
重点課題抽出のための重要性評価マップ

自社の重要性は当社が評価し、社会の関心・要望は社会の声の代表としてCSR有識者の(株)イースクエアに評価いただいた上で、優先課題(右上)の項目を洗い出し、重点課題としました。

(2)事業を通じた社会課題の解決
[図]社会課題と当社の事業・製品・技術等の関連

事業部の現在、および将来の技術、製品、サービスに対して、当社が解決に貢献できそうな社会課題を洗い出し、マトリックスの表に落とし込み、「事業」「社会課題」双方にとって影響の大きい(●の数が多い)課題を重点課題としました。

さらに、上記(1)、(2)で抽出した社内課題につき当社が環境や社会に影響を与えると思われる内容について整理するため、SDGコンパスを参考に、特にグローバルでの喫緊の課題である「環境」分野につき、環境・社会負荷(リスク)と機会(オポチュニティ)をマッピングしました。

バリューチェーン全体にわたる事業プロセスにおける影響の検討(例:環境)
  • * SDGコンパスを参考に、事業プロセスにおける負の影響と事業を通じた社会貢献の正の影響の両面から重点課題を検討

【STEP3】で抽出された重点課題を重点分野に分類して分かりやすくし、具体的な活動に移れるよう、各課題を推進する事業会社の関連事業部と事業課題とのすり合わせや、進捗を計る指標を検討するなど、2030年度に向けた目標設定を行いました。また、地球規模の環境課題については2030年に向けた数値目標を設定しました。SVP2030の重点課題は、富士フイルムホールディングス社長を委員長とするESG委員会にて審議、確定し、全社方針として取り組んでいます。

重点課題(マテリアリティ)の点検

富士フイルムグループでは、2019年度から2020年度にかけて新たな中期経営計画VISION2023の制定に向けて、CSR計画SVP2030の点検を行いました。SVP2030は中期経営計画の立案に合わせて3年ごとに見直す設計にしています。今回の見直しの結果、「環境」分野では、目標の一部をよりチャレンジングな目標に更新するとともに、新たな目標を複数設定、また「健康」と「働き方」分野では、事業を通じて実現を目指す重点課題において、新たにKPIを設定しました。

目標の一部をよりチャレンジングな内容にするとともに、新たな目標も複数加えました。追加・更新された目標は次のとおりです。
2030年度までに

  • 自社のCO2排出削減量をライフサイクル全体で、2013年度比45%削減する。
  • 使用する際にCO2削減効果の高い自社製品・サービスを社会に提供することでCO2排出削減に貢献する削減量を、90百万トンにする。
  • 環境負荷削減に特に優れた富士フイルムグループ「Green Value Products」の売上を全社の60%にする。

事業を通じて社会課題を解決するために、次のKPIを設定しました。

  • 医療AI技術を活用した製品・サービスを、2030年度までに世界196のすべての国と地域に導入することで、医療アクセスの向上を実現する。

点検の結果、十分妥当性があると判断し、従来の内容を継続することとしました。

事業を通じて社会課題を解決するために、次のKPIを設定しました。

  • ビジネスに革新をもたらすソリューション・サービスの提供により、働く人の生産性向上と創造性発揮を支援する働き方を5,000万人に提供する。

今後も中期経営計画を立案する3年ごとに見直し、PDCAサイクルを回していきます。SVP2030の達成に向けて、全社一丸となって活動していきます。

 

2020年で振り返ったSVP2030の活動実績の概要は次の通りです。

SVP2030 主な目標と活動実績
重点分野 重点課題 2030年目標 2020年度までの活動実績
環境 気候変動への対応 当社グループによるCO2排出を30%削減(2013年度比) 目標30%削減を前倒しで達成
→2030年度削減目標を45%に上方修正
製品・サービスを通じた、社会でのCO2排出削減累積量50百万トンの貢献 目標に対して順調に進捗
→50百万トンから90百万トンに目標を上方修正
健康 アンメットメディカルニーズへの対応 再生医療、細胞治療を含めた新たな治療法の開発と普及 バイオCDMOや、iPS細胞・培地の提供による創薬支援を推進
医療サービスへのアクセス向上 ITを活用した医師や医療従事者の負担軽減 AI技術を活用し診断を支援する製品・サービスを開発し、57カ国に展開
生活 安全、安心な社会づくりへの貢献 ICT社会の発展に貢献する製品・サービスの技術開発と普及 最大記録容量30TBを実現する磁気テープストレージメディアなど、新製品の開発と普及を推進
心の豊かさ、人々のつながりへの貢献 感動を呼び起こす写真・映像の記録や、思い出をカタチにする写真製品で人生の豊かさや平和な暮らしに貢献 “PHOTO IS”想いをつなぐ。50,000人の写真展2019」のほか、世界各地で参加型の写真展を開催
働き方 働きがいにつながる環境づくり(ソリューション・サービスの提供) 働く人の生産性向上と創造性発揮を支援するソリューション・サービスの提供による、組織と社会のイノベーション創出への貢献 コロナ禍でのリモートワークをサポートする「ネットプリント®サービス」などのソリューション・サービスの提供
SVP2030 対応する課題と主な関係者
重点分野 重点課題(キーワード) 事業を通じた
社会課題の解決
事業プロセスにおける
環境・社会への配慮
主な関連事業/関係者
環境 1.気候変動への対応 全社(特に工場、高機能材料事業)
2.資源循環 全社(特に工場、高機能材料事業)
3.エネルギー問題   全社(特に高機能材料事業)
4.化学物質の安全確保 全社(特に工場、高機能材料事業)
健康 1.アンメットメディカルニーズ   ヘルスケア事業
2.アクセス向上   ヘルスケア事業
3.疾病の早期発見   ヘルスケア事業
4.健康増進   ヘルスケア事業
5.健康経営   (社内)
生活 1.安全、安心な社会づくり   高機能材料
2.心の豊かさ   イメージング事業
働き方 1.働きがい 事業領域「ビジネスイノベーション」
(旧ドキュメント事業)
2.多様な人材   (社内)
サプライチェーン 全般にわたり強化     サプライヤー(+グループ全社)
ガバナンス オープン、フェア、クリアな企業風土     グループ全社(+サプライヤー)