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CSR計画

マテリアリティの策定プロセス

重点課題(マテリアリティ)については、下記の図のようなステップを踏まえて、当社と社会の両面で影響の大きい社会課題を抽出し、SVP2030の重点課題として特定しています。【STEP3】の重要性評価では、「事業を通じた社会課題の解決」(環境・社会への貢献)と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」(環境・社会への負荷最小化)の両面から課題を導き出しました。また社会の関心・要望については、社会の声の代表としてCSR有識者の(株)イースクエアに評価いただいた上で、優先する課題の項目を洗い出しています。さらに、グローバルでの喫緊の課題である「環境」分野については、SDGsコンパスを参考に、環境・社会負荷(リスク)と機会(オポチュニティ)をマッピングし、課題を整理しています。

  • 長期目標(2030年)の設定
  • 地球規模の環境課題は数値目標を明示して取り組む
  • 「事業を通じた社会課題の解決」(環境・社会への貢献)と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」(環境・社会への負荷最小化)の両面を考慮した重点分野に取り組む

今後も中期経営計画を立案する3年ごとに見直しを図り、PDCAサイクルを回しながら、SVP2030の達成、さらにはサステナブル社会の実現に貢献する企業を目指して、全社一丸となって活動していきます。

SVP2030では、環境、健康、生活、働き方の4分野と、グローバルに事業を推進していく上で企業として取り組むべきサプライチェーン、ガバナンスという6分野を重点分野と位置付けています。
中・長期CSR計画・目標の推移
【STEP1】基本方針の決定

マテリアリティ策定の最初のプロセスは、CSRに関する社会動向、富士フイルムグループの理念体系・各種方針に関する活動状況、事業の動向などを踏まえた、今後のCSR活動の基本方針の決定です。

現在のCSR計画「SVP2030」では、「社会課題解決に向け、グローバル企業として貢献できることを長期視点でとらえ、目指す姿を明示する」こととしました。前身のCSR計画「SVP2016」の「社会課題の解決を事業成長の機会ととらえ全社で取り組む」という事業成長と社会課題解決の関係性の表明から、CSR計画「SVP2030」を全社の目指す姿とし、中期経営計画を実行計画と位置づけ、社会課題を中心に進化する企業のあり方を示したことが変化点です。

目標年度の2030年まではこの基本方針を継続しますが、修正の必要性についての検討は適宜行います。

【STEP2】事業戦略を踏まえた社会課題の抽出・リストアップ

基本方針の下、世の中に存在するさまざまな社会課題の中から、現在ならびに将来にわたり、富士フイルムグループの事業に関連する社会課題を抽出しています。

世界共通の社会課題として、ISO26000などのグローバルなスタンダード、GRIなどのガイドライン、パリ協定の目標やSDGs、業界特有の社会課題などグローバルな社会課題をリストアップしました。さらに、株主説明会、投資家面談、環境対話集会などステークホルダーコミュニケ―ションから得られた情報や、すべての事業部が保有、開発している製品、技術、サービスが解決に貢献する可能性のある社会課題を検討し、それらを「関連する社会課題」としてリストアップしました。加えて、富士フイルムグループが将来的に関連する、もしくは関連する可能性がある事業領域に関して、社会や環境の変化、規制・政策動向、またステークホルダーからの要請事項なども考慮して、当社事業に関連する社会課題を検討しました。SVP2030立案の時は約300項目となりました。

【STEP3】重要性評価と課題の特定

抽出した社会課題は、当社への社会的要請や当社事業に関わる度合いの検討を通じて、当社の事業に影響の大きな社会課題を見極めて重点課題とするために、重要性評価を行います。この重要性評価は次の2つの視点で行いました。「事業活動によって生じる社会・環境への負荷の軽減/配慮」(負荷(リスク)対応に重きを置いた視点)と、「事業を通じた社会課題の解決」(機会(オポチュニティ)創出に重きを置いた視点)です。

(1)事業活動によって生じる社会・環境への負荷の軽減/配慮(リスク対応) (2)事業を通じた社会課題の解決(機会創出)
【STEP4】計画立案とレビュー・承認

【STEP3】で抽出された重点課題については、推進する事業会社の関連事業部とともに、全社の中長期のリスク・機会(統合報告書2023「中長期のリスク・機会とマテリアリティ」参照)の検討・把握を踏まえて計画・目標を立案し、それをESG委員会で審議、承認しています。活動の進捗は毎年レビューを行い、サステナビリティレポートで報告しています。

SVP2030の立案時は、関連事業部と2030年度に向けた目標を設定しました。特に環境課題については、グローバルの喫緊の課題である気候変動を中心に、進度の明確化を目指し、数値目標を設定することにこだわりました。

なおSVP2030の重点課題は、富士フイルムホールディングス社長を委員長とするESG委員会にて審議、承認され、取締役会にも報告されており、これを全社方針と位置付け、グループ一丸となって取り組みを進めています。

重点課題(マテリアリティ)の点検

重点課題については中期経営計画の立案に合わせ、少なくとも3年に1度、定期的に見直す設計にしていますが、必要に応じて都度見直しを行っています。

2023年度をゴールとする中期経営計画VISION2023制定の際にも、2019年度から2020年度にわたってCSR計画SVP2030の点検を行いました。この見直しの結果、「環境」分野では、目標の一部をよりチャレンジングな目標に更新するとともに、新たな目標を複数設定しました。また「健康」と「働き方」分野では、「事業を通じた社会課題解決への貢献」を目指す重点課題において、新たにKPIを設定しました。さらに都度の見直しでは、環境分野で、2021年12月に「1.5℃目標」達成に向けて、当社からのCO2排出削減目標を引き上げました。

なお、SDGコンパスを参考に、グローバルで喫緊の課題を多く抱える「環境」分野については、環境・社会への負荷と機会を整理するため、バリューチェーンでマッピングしています。

中期経営計画立案のタイミングに合わせた重点課題見直しの概要

2019~2021年度で見直した内容は以下です。また2023年度から再度見直しを実施中です。

環境

目標の一部をよりチャレンジングな内容にするとともに、新たな目標も複数加えました。

また近年、国際的に関心が高まっている生物多様性は、気候変動に比べて地域性の高い環境課題である上、当社事業場の操業には水が不可欠なことから、SVP2030の重点課題に「生物多様性の保全」を追加しました。水と事業との関連性に重点を置き、活動を推進することにしています(具体的な目標値は2024年度中に設定予定)。

追加・更新された目標の一部
2030年度までに

  • 当社の製品ライフサイクル全体*1でのCO2排出を50%削減する(2019年度比)。
  • 使用する際にCO2削減効果の高い当社製品・サービスを社会に提供することで、社会でのCO2排出削減累積量90百万トンに貢献
  • 環境負荷削減に特に優れた富士フイルムグループ「Green Value Products」を全社売上の60%にする。
  • *1 原材料の「調達」、製品の「製造」「輸送」「使用」「廃棄」
健康

事業を通じて社会課題を解決するために、次のKPIを設定しました。

  • 医療AI技術を活用した製品・サービスを、2030年度までに世界196のすべての国に導入することで、医療アクセスの向上を実現する。
働き方

事業を通じて社会課題を解決するために、次のKPIを設定しました。

  • ビジネスに革新をもたらすソリューション・サービスの提供により、働く人の生産性向上と創造性発揮を支援する働き方を5,000万人に提供する。
生活、サプライチェーン、ガバナンス

見直しの結果、重点課題として設定することに十分妥当性があると判断し、従来の内容を維持することとしました。

今後も少なくとも中期経営計画を立案する3年ごとに見直しを行いながら、SVP2030の達成に向けて、全社一丸となって活動していきます。

SVP2030の2024年度目標と主な実績・活動
重点分野 重点課題 2024年度 主な目標
* 下記はすべて2030年度に向けた目標
2024年度 主な実績・活動
環境
  1. 気候変動への対応
  2. 資源循環の促進
  3. 脱炭素社会の実現を目指したエネルギー問題への対応
  4. 製品・化学物質の安全確保
  • 当社エネルギー起因のCO2排出削減率:50%削減(2019年度比)(2040年度実質ゼロ化達成)
  • 製品ライフサイクルのCO2排出削減率:50%削減(2019年度比)
  • 環境配慮製品・サービスの売上構成:60%
  • 社会でのCO2排出削減貢献量:90百万トン(累計値)
  • 資源循環を促進するため、欧州にトナーカートリッジの資源循環生産拠点を開設し、リユース部品を活用した複合機のラインアップを強化
  • 環境問題や複合機技術を分かりやすく学び、サステナブルな地球の未来を探究する体験型施設「Green Park FLOOP(グリーン パーク フループ)」開設
  • 動物実験の代替法としてin vitroで発熱性物質を検出するMAT法用試薬キットおよび、動物由来成分を含まない遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬を発売
  • 生物多様性の取り組み推進に向け、「TNFD Adopter」に登録するとともに、グループ内の状況の分析を進め、初の「TNFDレポート」を発行
健康
  1. 先端医薬品の安定供給
  2. 医療サービスへのアクセス向上
  3. 疾病の早期発見への貢献
  4. 健康増進、美への貢献
  5. 健康経営®の推進
  • 新たな治療ソリューションの開発/アクセス向上
  • 医療従事者の負担を軽減するAI/IoTを活用したサービス拡大・普及
  • 従業員の活力を維持する健康経営の推進
  • 医療AI技術を活用した製品・サービスの展開拡大
    (目標)
    2026年度:120か国
    2030年度:196か国
  • 高品質なバイオ医薬品の安定供給の実現、先端医薬品の安定供給のため、デンマークや米国ノースカロライナ拠点などで生産能力を増強
  • 完全ゼロヘリウムの実現によるヘリウム排気管不要なコンパクト設計、および安定稼働を実現する1.5テスラ超電導MRIシステム「ECHELON Smart ZeroHelium」を発売
  • 健康経営銘柄に5年連続選定
  • 医療AI技術を活用した製品・サービスの展開:115か国
 
  1. 安全、安心な社会づくりへの貢献
  2. 新たな感動・体験を社会に届ける写真・映像文化の継承・発展
    心の豊かさ、人々のつながりへの貢献
  • ICT社会の発展に貢献する製品・サービスの技術開発と普及
  • 思い出をカタチにした写真を楽しむ機会の提供
  • イメージセンサー用カラーフィルター材料の生産能力拡大と、現地生産化に向け、韓国平澤市に新工場を竣工
  • EUVレジスト、EUV現像液など、先端半導体材料の需要の高まりに対応するため、国内外の拠点への設備投資実施
  • 立体的なARエフェクトで、自由に空間を彩り撮影できる新機能などを搭載したスマホプリンター“チェキ”「instax mini Link 3TM」を発売
  • 新開発ドライブユニット搭載でバーチャル・リモート撮影に対応した 4K対応の放送用ズームレンズ「FUJINON LA30x7.8BRM-XB2」を新開発
働き方
  1. 働きがいにつながる環境づくり
  2. 多様な人材の育成と活用
  • お客さまの働き方変革の支援
  • 女性役職者比率向上
  • 当社の画像処理技術・AI技術やデータの利活用におけるきめ細やかなニーズへの対応実現のため、富士フイルムRIPCORD合同会社の完全子会社化
  • DXC Technology社のオセアニアにおける基幹システム販売・導入支援事業と、パシフィックビジネスコンサルティング社の買収による基幹システム販売・導入支援体制のさらなる拡大
  • データの分析サポートやAIによる課題発見で、企業のマーケティング業務の効率化を実現するクラウド型プラットフォーム「Revoria Cloud Marketing」の提供開始
  • 事業基盤の強化に向け、富士フイルムビジネスイノベーションがコニカミノルタ社との合弁会社「グローバルプロキュアメントパートナーズ」を設立
  • 女性役職者比率7.3%(日本国内)
サプライチェーン 環境・倫理・人権などのCSR基盤をサプライチェーン全般にわたり強化
  • 持続可能な調達の推進
  • サステナビリティに関するセルフチェック    回答社・拠点数/回答回収率:1,027社・1,550拠点/92%
    適合率90%以上の社数の率:71%
  • セグメント別鉱物調査(3TG)回答回収率/RMAP認証取得製錬所比率
    エレクトロニクス:94%/97%
    ビジネスイノベーション:100%/62%
    イメージング:84%/64%
  • 富士フイルムビジネスイノベーションがEcoVadisからゴールド評価を獲得
ガバナンス オープン、フェア、クリアな企業風土のさらなる浸透
  • オープン・フェア・クリアな企業風土のさらなる浸透により、不祥事・重大法令違反ゼロを目指す
  • カスタマーハラスメントに関する考え方を公式サイトに掲載
  • 国内外ステークホルダーからのコンプライアンス全般に関する通報窓口を公式サイト上に設置
SVP2030 対応する課題と主な関係者
重点分野 重点課題(キーワード) 事業を通じた
社会課題の解決
事業プロセスにおける
環境・社会への配慮
主な関連セグメント/関係者
環境 1.気候変動への対応 ● ● ヘルスケア
2.資源循環 ● ● エレクトロニクス
3.生物多様性の保全 ● ● ビジネスイノベーション
4.化学物質の安全確保 ● ● イメージング
健康 1.先端医薬品の安定供給 ●   ヘルスケア
2.アクセス向上 ●   ヘルスケア
3.疾病の早期発見 ●   ヘルスケア
4.健康増進 ●   ヘルスケア
5.健康経営 ● ● グループ会社
生活 1.安全、安心な社会づくり ●   エレクトロニクス
2.新たな感動・体験を社会に届ける写真・映像文化の継承・発展
心の豊かさ、人々のつながりへの貢献
●   イメージング
働き方 1.働きがい ● ● ビジネスイノベーション
2.多様な人材   ● グループ会社
サプライチェーン 全般にわたり強化     サプライヤー(+グループ全社)
ガバナンス オープン、フェア、クリアな企業風土     グループ全社(+サプライヤー)
  • * 「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。