CSR活動報告│その他の取り組み

社会貢献活動

基本的な考え方

富士フイルムグループは、事業活動を通じて社会に貢献するとともに、企業市民として地域社会とも積極的に交流を行い、社会の持続的発展に貢献する活動を行っています。事業の特性を生かし、文化財・美術品のアーカイブ化、伝統文書の複製と活用、新興国や災害現場への医療機器提供、写真を通じた支援など、富士フイルムグループならではの特徴的な活動を実施するほか、被災地の復旧・復興支援活動、教育支援活動など、地域との共生を図る様々な活動も行っています。こうした活動を持続的に行うことは、富士フイルムグループの事業活動、そしてSVP2030の目標を達成する上での重要な基盤になっています。

事業を通じて取り組む社会貢献分野

富士フイルムグループは企業市民として社会とともに歩み、社会の要請や期待に誠実に応える社会貢献を目指し、事業との関連が強い「自然環境」、「学術・教育」、「文化・芸術・スポーツ」、「健康」の4つの分野を中心に取り組んでいます。

自然環境

各分野で重点的に取り組む考え方(優先事業との関係)

当社グループは清浄な水と空気が不可欠なビジネスを展開していることから、創業以来、環境配慮や環境保全に努めてきました。環境課題はすべての事業に影響するため、現在も環境に関する社会貢献活動を積極的に推進しています。

事業への影響(事業上の効果とKPI)

CO2、水、廃棄物に関する目標を設定することで、事業に与える影響、社会に与える影響の両面を管理しています。

学術・教育

各分野で重点的に取り組む考え方(優先事業との関係)

様々な事業を進めている当社グループは、多様な人材が必要になります。パートナーやNPOと協力して、私たちが事業を展開している地域の多様な次世代の育成を行っています。その結果、人材の育成を通じた地域との関係づくりとともに当社の認知度の向上が図れます。

事業への影響(事業上の効果とKPI)

事業展開している地域との関係性を高め、富士フイルムのブランド定着になります。その地域での事業の継続と継続的な売上がKPIとして挙げられます。

文化・芸術・スポーツ

各分野で重点的に取り組む考え方(優先事業との関係)

私たちは創業以来「より良い映像情報を提供し、社会に貢献していくこと」を目指して、写真フィルムや感光材料等の事業を進めています。さらに、「時を超えた価値あるコミュニケーション」をテーマに、複合機や最新技術を活用した(CSV)活動を進めています。

事業への影響(事業上の効果とKPI)

写真仕上げ製品及びグラフィックコミュニケーション事業に対する印刷需要の創出、ビジネスイノベーション事業領域(旧ドキュメント事業)の新たな需要等が期待されています。結果は売上や利益に現れます。

富士フイルムビジネスイノベーションは、長年メインスポンサーとして本サッカーイベントを支援しています。

健康

各分野で重点的に取り組む考え方(優先事業との関係)

マンモグラフィや画像診断装置、医薬品などの医療製品を提供するヘルスケア事業の推進と、新興市場を含む世界での予防・診断・治療による健康社会の創造の両方を実現する社会貢献活動を目指しています。健康意識が低い新興市場において、予防・診断・治療に対する意識向上のための社会貢献活動を推進することで、健康診断や医師の診察に対する意識が高まり、ヘルスケア市場が拡大します。それは同時に、これらの分野での私たちの評価を高め、事業開発の確実な推進に役立ちます。

事業への影響(事業上の効果とKPI)

メディカルシステム、バイオCDMO、ライフサイエンスを含むヘルスケア事業の持続的成長が期待されます。結果は売上や利益に現れます。

代表的な活動(具体的な活動とKPI)
  • 医療AI技術を活用した製品サービスを、2030年までに世界196のすべての国と地域に導入することで、医療アクセス向上を実現

  • 医療関係のトレーニング

  • ピンクリボン運動 等

継続的に実施している主な社会貢献活動

[図]継続的に実施している主な社会貢献活動

世界での社会貢献活動

中国

1998年から続く植林活動――2020年度はコロナ下で森林再生意識を育むオンラインプログラムを提供

富士フイルム(中国)投資有限公司は、コロナ禍を受け、内モンゴル自治区での植林ボランティア活動を“オンライン”で継続し、森林再生意識の向上を図る教育プログラムをアプリで提供。

また、活動パートナーである非営利団体「Greening Network」に寄付を行い、同団体を通じて300本の植林も実施

ポルトガル

SNSを通じて世界中に乳がん予防のメッセージを発信

FUJIFILM Europe GmbH – Sucursal em Portugalは10月の乳がん啓発月間に、ポルトガルがん対策協会等のNGOと提携し、ピンク色を身に着ける“ピンクデー”を開催。

ピンク色のマスクを着けたすべての従業員の自撮り写真をLinkedIn(ビジネス特化型SNS)で公開し、世界中の人々に乳がんの予防と早期診断を訴求

ベトナム

オークションイベントを開催し洪水被害に遭った小中学校に寄付

FUJIFILM VIETNAM Co., Ltd.は、2020年10月の大規模洪水で被害に遭ったクアンチ省のバロン小中学校を支援するためにオークションイベントを開催。

集まった資金をすべて学校再開に向けた机と椅子の購入費用として寄付

アメリカ

ボランティアキャンペーン#FujifilmCaresで地域に直接貢献できる環境保全活動を実施

ニューヨーク州とサウスカロライナ州に拠点を持つ北米グループ会社の従業員が、地元の団体と連携し、公園のゴミ清掃や季節の花の植栽等の美化活動を300時間以上実施。

環境保全活動への寄付も行うなど、地域の“良き隣人”として直接貢献できるボランティア活動を展開

2月の「心臓の健康月間」に病気予防に役立つイベントを開催、募金活動にも参加

北米のグループ各社は、心臓発作や脳卒中の予防を目的とした社内イベントを開催、新たな試みとして“健康に良いライフスタイル”を送ることを300人以上の従業員が宣言。

また募金活動やウォークイベントを通じて合計42,322米ドルをアメリカ心臓協会等の非営利パートナーに寄付

イギリス

子どもに科学の楽しさを伝えるコンテンツでコロナ禍で増えたオンライン学習をサポート

コロナ禍で増えた自宅学習をサポートするため、FUJIFILM UK Ltd.は写真からワクチンまで富士フイルムの技術を支える科学を学べる5~8歳児向けオンライン学習ハブを開設。

科学を楽しく理解できる“ 塗り絵”を地域の小学校に配布し、サイトからも無料でダウンロードできるようにしたほか、トルコ語、ドイツ語版も展開。

また、FUJIFILM Diosynth Biotechnologiesが遺伝子治療について学べる子ども供向けゲームアプリ「Virtual Victor」を提供

世界中で活躍する女性科学者などのストーリーを紹介

FUJIFILM Europe GmbHが制作する「Women4Women Magazine」では、「科学における女性と女児の国際デー」を記念し、富士フイルムグループのエキスパートやパートナーとして活躍する世界中の女性科学者を特集(2021年2月号)。
また、力強く存在感を発揮する女性のストーリーをコミットメント、フォーカスなどをキーワードに紹介(2021年7月号)

復旧・復興支援活動

日本

豪雨による被災地・被災者への支援

富士フイルム九州(株) 植松社長とくまモン
🄫2010熊本県くまモン 撮影日:2020年9月30日

「令和2年7月豪雨」について、富士フイルムと富士フイルムビジネスイノベーションから義援金合計1,000万円と、避難所などにおける感染症予防のため、富士フイルムの手指消毒剤「薬用アルコールジェルCB」1,000本を熊本県に寄付しました。
また従業員による募金サイトでも約90万円を集め、特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォームを通じ現地の復旧支援活動に寄付しました。

物産品購入による被災地復興支援

富士フイルムホールディングスは、全国の従業員を対象に、労使共催(富士フイルム生活協同組合後援)で東北・熊本の物産品を紹介・販売する「通信販売」を毎年実施しています。2020年度は、コロナ禍で毎年実施している試食会は開催を断念しましたが、通信販売の売上の1%を福島、熊本の復興のシンボルとなる建造物、取り組みに寄付しました。

富士フイルム・グリーンファンドの活動

富士フイルムが創業以来一貫して大切に守って来た、きれいな水と空気や緑に代表される「自然保護」を対象に10億円の資金を拠出し、1983年に「公益信託富士フイルム・グリーンファンド(FGF)」を設立しました。自然保護をテーマとした民間企業による公益信託としては、日本で最初のもので、現在も多くの活動や研究に対して助成を行っています。

「社会的インパクト評価」の取り組み

富士フイルムビジネスイノベーションでは、自社の社会貢献活動が社会にどのようにインパクトを与えているのかを「見える化」する活動に取り組んでいます。

背景

富士フイルムビジネスイノベーションは、2012年度に「コミュニケーションを本業とする富士フイルムビジネスイノベーションらしい顔の見える社会貢献」の取り組みを強化することを決定。「将来世代の人材育成」「希少な文化や情報の伝承」の二つを全社の重点テーマに定め、社会貢献活動を積極的に推進しています。このような活動を通じて、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の目標「4:質の高い教育をみんなに」「11:住み続けられるまちづくりを」「17:パートナーシップで目標を達成しよう」の達成へ貢献していくことを目指しています。

目的

2016年度からは当社の社会貢献活動の社会的な意義や成果を客観的に把握して活動の改善につなげるために、「社会的インパクト評価」*1の取り組みを進めています。当社は、当該活動が社会や環境にどのような変化や効果を与えているのかを定量的/定性的に評価する手法を確立し、社会的インパクトを「見える化」することにより、評価結果をPDCAに活用し、さらにはステークホルダーに共有することで継続的に地域社会の課題解決や発展に貢献していきます。

活動内容

「新興国における教材提供プロジェクト」や「伝統文書の複製と活用」など当社の代表的な社会貢献活動の社会的インパクトを評価するために、ロジックモデルを策定し簡易評価を実施しました。

  • 「社会的インパクト評価ツールセット」*2 を用いたロジックモデルの作成

  • プログラム評価の考えに基づいたロジックモデルの作成と明治大学による監修
    自社評価に対する信頼性を補完するため、2017年度に明治大学プログラム評価研究所による監修を受けました。

  • 最新動向の把握と日本における社会的インパクト評価の普及啓発への貢献
    2017年度から「社会的インパクト評価イニシアチブ」*3 事例蓄積・活用ワーキンググループのコアメンバーとして参画しています。

今後に向けて

今後もステークホルダーとの対話を大切にして、社会的インパクト評価結果に基づいて当社の社会貢献活動の改善に取り組み、地域社会の課題解決や発展にいっそう貢献することを目指します。また、富士フイルムグループとして本評価の活用を検討していきます。

  • *1:短期・長期の変化を含め、事業や活動の結果として生じた社会的・環境的な変化、便益、学びその他効果を定量的・定性的に把握し、事業や活動について価値判断を加えること。(Global Social Impact Investment Steering Group(GSG、旧G8社会的インパクト投資タスクフォース)の定義から)
  • *2:GSG作成の社会的事業評価のための解説書。
  • *3:2016年に発足した日本における社会的インパクト評価を推進する民間主導のプラットフォーム。

各事業会社の活動

写真救済プロジェクト(富士フイルム)

正倉院聖語蔵経巻アーカイブ(富士フイルム)

富士フイルム九州の地域貢献(富士フイルム)

写真技術を生かした社会貢献(富士フイルム)

「みどりの小道」環境日記(富士フイルム)

聞き書き甲子園(富士フイルム)

植林ボランティア(富士フイルム)

従業員の社会参加を支える仕組み(富士フイルムビジネスイノベーション)

主な社会貢献プログラム(富士フイルムビジネスイノベーション)

災害リスクに強い社会づくり(富士フイルムビジネスイノベーション)